この怖い話は約 3 分で読めます。
話をしている最中も、常に周りを気にしてとにかくさっさと切り上げようとしている。
無理に引き留めるわけにもいかず、この日はこれで引く。
『なんかあやしい』
それが感想でした。
およそ商売をしている風には受け取れませんでした。
そしてこの日以降も竿竹屋は巡回に来る。
毎日・・・
どうしても気になるので、さりげなく外を歩いてる風を装って、車の近くへ。
しかし一瞬、運転手と視線が合ってしまいました。
先日と同じ男性でした。
向こうも気が付いたらしく(そりゃそうでしょ。誰も買わない竿竹を買った人なんですから、向こうもおいらの顔を覚えていたようです)微妙な反応を。
この時おいらは、その男性が
「ちっ」
とでも言いたさげな、あからさまにイヤな顔をしたのを見逃しませんでした。
ここで、おいらは
『なんかマズイな・・・』
と思いました。
なにか触れてはいけない部分に触れてしまったような。
しかし、それでも竿竹屋は来る・・・
気になる・・・
ああ、ジレンマ。
そしてまた別の日。
ついに耐えかねて、また外に出てしまう。
今度は気付かれないよう、物陰に隠れて様子をうかがうも、車の後ろからではさっぱり見えない。
しかたなく、気付かれないようぐるーっと迂回して車の先回りをする。
建物の間にある隠れた場所、フェンスの横からそっと顔を出す。
さしたる変化も見受けられなかったものの、一瞬よそ見をした瞬間に向こうに気付かれてしまった!!(今考えれば正面からだから見つかってもしかたない場所ではあった)
さっと隠れるも
「ブォォン!」
とエンジン音。
隠れた場所に横付けされる車。
慌てて降りてくる運転手。
さっさと逃げればいいものの、この時は失態を見つけられてしまった小学生のごとく体が硬直し、見つかった恐怖のため身動きがとれなかった。
「おまえか・・・」
息を切らした運転手の第一声でした。
おいらは得体の知れない恐怖のために体は震え、声を出すことができませんでした。
運転手はさらに詰め寄りました。
そして小声でこう言いました。
「何を知ってる!?」
おいらは何も知らない!!知りません!!
この時、全身の血がさぁっと音を立てて引いていくのが感じられました。
黙っているおいらを見て、
「はぁー」
と長いため息をつく運転手。
「しょうがない。ちょっと車にのんな」
車に乗れだと!?
あまりのことに・・・
あまりの展開にすっかり動転する。
気が動転するとはこういうことなのか、と生まれて初めて実感する。
車に乗れ、と?
・・・冗談じゃない!
ここでようやく体が拒否反応を示す。
逃げなければ。
なんだか分からないけど逃げなければ。
ここで落ち着きを取り戻し、運転手にうながされるままに、ちょっとふらふらと演技をしつつ車の方へ。
運転手が車のドアを開けるために向こうを向いた一瞬、全速力で逃げ出した。
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興味本位で首突っ込んだお前が悪い