Categories: 洒落怖

失った物と得た物

この怖い話は約 3 分で読めます。

だが、あせる俺にはドアの開く速度がイライラを生んだ。
まともに会話できるようになるまで何ヶ月かかるんだ。糞野郎!脱糞野郎!肥溜め野郎!
いかんいかん。俺は今井田が好きなんだった。汚い言葉は胸に秘め、今井田の心を強制的に開くためにある作戦を考えた。
それは、今井田の家にいって距離を急激に縮めようというものだった。
男女間の心理戦をいくつか飛ばしてしまおうというわけだ。

今井田の家は母子家庭だった。今井田の母ちゃんは働き盛りのおっかさんでたくわんが大好物だそうで、それが災いして帰宅が深夜すぎになるらしい。
俺は今井田をいいくるめて、今井田の家の中に入る事に成功した。
いいくるめるまでには、なかなか時間を浪費したんだが、今井田の趣味である読書に興味があるといったらば、本を貸してくれるというので本を借りると言う名目で侵入に成功した。

今井田の家は母子家庭の家族が住む専用の団地だった。
それ故に狭く、古く、住み心地は今ひとつのようだったが、冷蔵庫にはってあるたくわんが大好きな今井田の母ちゃんの
「冷蔵庫にプリンがあるから食べて。今日も遅くなるけどゴメンね」の書置きに今井田親子のあたたかさを感じ、この家、そんなに悪くないなと思った。

今井田の部屋に入った俺は、今井田親子の温まるエピソードそっちのけで、今井田を生まれたままの姿にしはじめた。

700 本当にあった怖い名無し sage New! 2006/10/30(月) 01:15:44 ID:Ge+x/JfH0
激しかった。俺は喧嘩なんかしたことがなかったから、人とつかみ合いで争った事はない。だから、もしかしたらこれがバージンつかみ合いだったのかもしれない。
今井田は部屋に入った途端後ろから抱きつく俺を引き剥がそうとした。
今井田がもがけばもがくほど俺の腕に力がみなぎる。もう誰もとめられないのだ。俺自身ですら。
今井田を押し倒し、制服をまくりあげ、ブラジャーを拝む。強引に制服を引っ張ったからか、ブラジャーから乳りんがかすかにはみ出していた。

乳りんがはみ出したように、硬く閉ざされていた扉の向こうから、今井田の本心もはみ出してきた。
「ねぇ・・・やくそく・・・・やくそく・・・・」
俺が今井田の服を脱がし続けている間に、今井田がボソボソとつぶやく。
「ぬぅわにをぉ?」
いちお聞いてみる
「なにがあっても、一緒にいて?」
俺は東京タワーを建築する術を知らない。しかし、俺の体はどうやら建築方法を原始的に会得していたらしく、
俺の下半身では東京タワーが経済成長期の象徴として君臨しはじめていた。
俺の人生もこれを期に経済成長するに違いない。俺は変わる。

その日、俺は今井田と一つになった。
自分の体外に、大切にしなきゃいけないものができた日だった。
俺は一生、ミドリを守る事を誓った。ごめん、調子にのって呼び捨てしちゃった。

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