Categories: 洒落怖

おくびょうもん

この怖い話は約 2 分で読めます。

─うぁういっぁぃ─

こんなかんじだったかな、とにかくささやきごえのような音をそれは発しててさ。
背をむけられてるのにむかってくるような響きだった。
こうなると人間情けないもんで、腑抜けたっていうのかな。体んなかからなんか大事なものが浮き上がって抜けてくかんじ。
そのあいだにも後ろからは足を擦らせる音が近づいてくるし追い詰められる一方だし。
いよいよ視線も上下左右におよいで悲鳴をあげようとする口は勝手に引き結ばれたままになっちゃってたくぐもった音しかでない。
そのあいだにもそれはさっきの音を何度も繰り返すのよ。
で、だんだんはっきり聞こえてきた。

380 おくびょうもん sage 2006/12/12(火) 05:49:51 ID:yXjzOsZx0
─やすみたい─

明瞭に聞こえた瞬間。
最後にのこってた勇気なんてそんなくだらないもんじゃなくて、テンパりすぎてネジすっとんでった狂気交じりの怒りというべきかな。
こんな状況にまきこまれた理不尽さとかそういうものがもういっきにこみあげてきて。
『かってに独りで休みやがれ』て声に出せないけど心の中で絶叫したのね。

そしたらすとーんとさ、なんか体の中に俺が落ちてぴったりはまったような感覚がして。
あれ?ってかんじで体が動くようになった事に意識がそれた一瞬のうちに後ろも前もなーんもなくなったのよ。

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