Categories: 洒落怖

古着

この怖い話は約 3 分で読めます。

『○○金属¥250,000』とか『○○インダストリー¥500,000』
とかが縦に書かれて、その横に×印が書いてあった。

翌日、会社の同僚と居酒屋に行ったときに、この古着とゴミの話をした。
ひとしきり失敗談に笑っていた同僚が調子に乗って
「そりゃ絶対にサラ金の取立てメモだ。借金したヤツの恨みがこもってるぞ」
とか言うので、調子に乗った俺は
「ほら、こいつが呪いのメモ帳だ」
と、例の紙切れをテーブルに放り出した。女の子がキャーキャーと騒ぐ。

すると、紙切れを見ていた同僚の一人が言った。
「これ、本当にサラ金か?」

204 古着4/4 sage 2008/05/10(土) 17:07:17 ID:vDpRTLAM0
「このリストって会社ばっかだろ?個人名が書いてねえし
だいたいサラ金って、銀行からも取立てんのか?」
言われてみれば、リストには銀行と信金とかも書かれている。

「こりゃ、借金は借金だけど、サラ金の取立てじゃなく借りようと
してる奴のメモじゃねえの?零細企業の社長とかさ」

メモにある無数の×印は、取立てが失敗したのではなく、借金を頼んで
断られた印で、数少ない○印は何とか借りられたって事じゃないかと言う。
計算すると、×が約1200万、○は300万で、殆どが×印だった。

考えすぎかとも思ったが、メモにある数字と×印がふるえているのを
見ると、零細企業の社長が寒空の下で、倒産の恐怖に震えながら得意先
に頭を下げに駆け回って、ダメだった結果を鉛筆で書いているシーンが
浮かんで来てしまう。

悩んだ末に、結局コートは捨てた。それ以来古着は買わない。
翌日になって、ふとゴミ箱に捨ててあった例のレシートを見たからだ。
一枚と思ったレシートは、実は二枚で、水にぬれたか何かでくっ付いて
いたのだ。

1995年12月24日、23時の日付のあるコンビニのレシートには
コーヒー3本と肉マンが3つと印刷されていた。イブの夜中にコーヒーと
肉マンを食べていた様なのだ。
そしてもう一枚には、翌日の25日、ファミレスでステーキ二つとお子様
ランチの3名の記録が載っていた。

そもそも借金云々だって単なる想像だし、この3名だって家族かどうかも
分からないんだよね。
ただね、この3人がクリスマスに楽しく食事をしたとは思いたいんだよな。
最後の晩餐じゃなくて。

Page: 1 2

bronco

Share
Published by
bronco

Recent Posts

迷い

霊とかとは全然関係ない話なんだ…

4年 ago

血雪

全国的にずいぶん雪がふったね。…

4年 ago

母親の影

私が小6の時の夏休み、薄暗い明…

4年 ago

閉じ込められる

彼はエレベーターの管理、修理を…

4年 ago

彼女からの電話

もう4年くらい経つのかな・・・…

4年 ago

テープレコーダー

ある男が一人で登山に出かけたま…

4年 ago