Categories: 洒落怖

道を尋ねる男

この怖い話は約 3 分で読めます。

433 創作 1/2 sage 2008/05/14(水) 07:16:00 ID:RiGMZrjL0
自宅から自転車で10分。徒歩で30分前後くらいの場所にある24時間スーパー
ここの夜勤に勤め始めてもう4ヶ月が経った

いつもは人通りもそれなりにある表通りを出勤路にしている
でも、その日は遅刻気味だった
仕方なく普段は通らない裏道を使った

自分はこの裏道が嫌いだった

特に何か事件があったわけじゃない
ただ、人通りが少なくて暗いというだけだ
それだけの理由で、人は、何か得体の知れない恐怖というものを植えつけられる

精一杯自転車を漕ぐ
別に遅刻したからってきつく咎める上司はいない
「コーヒー一本で手を打とう」と言う上司ならいる
同僚達も、人当たりが良い
誰も文句も言わない、とても働きやすい職場だ
だからこそ自然と自分を急かす

T字路が見えてきた。ここを曲がればもうすぐだ
と、そこに人影が見えた
本のようなものを持ちそれを覗きこんでいる
確かに街頭はある。が、こんな場所で、こんな時間に読書だろうか?
いや、そんな趣味の人もいるだろう
今は急がなくてはならないんだ。気にしないほうがいい
考えているうちにそれとすれ違う

434 創作 2/2 sage 2008/05/14(水) 07:17:39 ID:RiGMZrjL0
「あの、すみません」
普通なら聞き逃してしまっていただろう
見るからに急いでいる人を呼び止めるか?
このまま急げば間に合う
甘い性格なのかもしれない。数メートル先で、自転車を停めた

自転車を押して引き返す
若い男。20代前半だろうか
手に持っていたのは地図だった
「すみません、道をお聞きしたいのですが」
男はそう言うと、紙を取り出した
「この住所なんですが、ご存知ないでしょうか?」
差し出された紙は名簿のようで、びっしりと名前と住所が載っている。何かのリストだろうか
その列の一つに指を差している
○○市□□5-47-2か。ここから歩いて5分もかからない場所だ
人助けをしていたと説明すれば遅刻は納得してくれるだろう
「ああ、わかりますよ。すぐそこなのでご一緒します」

目的の場所に着くと、男は礼を言い、すぐ近くの家の呼び鈴を押していた
それを最後まで見届けず、俺は仕事先へと向かった

435 創作 3つでしたorz sage 2008/05/14(水) 07:19:04 ID:RiGMZrjL0

翌朝
勤務先のスーパーの社員用休憩室でのことだ
昨日の男は一体なんだったのだろうか
そんな事を思いながら備え付けのテレビを見ていた
朝方ということもあり、流れるのはテレビショッピングだとかニュースばかりだ
とあるチャンネルで指が止まる
昨日、あの男が呼び鈴を押していた家が映ったのだ
何の偶然か、俺が眺めていた角度と全く同じ光景で

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