Categories: 洒落怖

やつの話

この怖い話は約 3 分で読めます。

855 「やつ」の話3 sage 2008/05/22(木) 13:48:53 ID:xLnv2Y8c0
「そしたらさ、先帰ったやつらの一人が泣き叫んでるのが聞こえてさ。
 なんか『いるんです!部屋の中にあいつがいるんです!』とか叫んでるんだわ。」
「よくある展開だな。」
「まぁ聞けよ。そいつの恐がり方が尋常じゃなくてな。高校3年の男子が鼻水垂らしてアホみたいに泣きじゃくってる。
 俺はその光景がなんか、壊れてる?みたいに感じた。馴染みのないことだからだと思うけど。」
「まぁそいつが言うにはさ、「幽霊が部屋の中にいて俺をみてる」らしいんだわ。」
「こええな・・・。」
「そんで泣きじゃくるそいつと、困り切った先生を連れてさ、そいつの部屋行こうってなったんだ。」
「なんで!?」
「外道過ぎる。」
「いや、『あいつら』なんていないって証明するために。」
「怖くなかったのか?」
「いや、特に。まぁそいつと先生何人かと俺らでそいつの部屋に行ったんだよ。」
「寒気とかやなかんじとかしなかったか?」
「俺は霊感とか無いって。まぁ最初はみんなビビってたけどさ、先生がドアあけて何にもなかったからほっとしてさ。
 そいつも落ち着いたみたいで。まだひっくひっくいってるけど。
 まぁ幽霊なんて夢か何かだったんだろ。って話になってみんなで笑ってたんだわ。」
気がついたら部屋の照明は人工の明かりだけになっていた。
外はもう暗く、夕日の代わりにネオン光とかが差し込んできてた。

856 「やつ」の話4 sage 2008/05/22(木) 13:50:39 ID:xLnv2Y8c0
「でもさ、ふっと誰かがカメラもっててさ。デジカメ。『うつったらやばくね?』とか言いながらそれで写真とったんだわ。」
「そしたらさ。」
「うん。」
「『あいつ』じゃなくて『あいつら』だった。」
「へ?」
「画面中がほとんど。手とか顔が写ってない面積のが少ないくらいだった。」
みんなシーンとなって、リアクションさえ忘れてビビってた。
背筋がほんとにぞわぞわーって寒気が走るんだよね。あーいう時って。
「なんともなかったのかおまえら?」
「その泣いてたヤツどうなったの?」
「うん。みんな超ビビってた。そいつ泣きながら朝まで先生の部屋にいたらしい。」
「そいつはどうなったの?」
「しらねえ。そんなに仲いいわけでもなかったし。」
「修学旅行中止になった?」
「次の日から普通に最後まで楽しんだよ。」
「おまえwwwww」
その一言でみんなが爆笑。空気がぱっといつものに戻った気がした。
でも
「結局写真に写った『あいつら』はどこに行ったんだろうな。」
「やつ」はぽつっとそんなことをつぶやいていたのが、やたらと記憶に焼き付いてる。

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