Categories: 洒落怖

見える人見えない人

この怖い話は約 3 分で読めます。

「見えるはずないでしょ、そんなもん。一度だって見た事ないですよ。」
そう言い放つBを見てやっぱりこいつもそういうの信じて無いタチか、そんな感じだもんなと思い
「そらそうだな…まぁ、なんだ。またなんか困った事あったら相談乗るからよ、しばらく放っとけよ」
と当たり障り無いアドバイスだけしてその日は帰った。

419 本当にあった怖い名無し sage 2008/09/23(火) 08:24:16 ID:EOJuEcwH0

そこからしばらくは二人とも気に掛けて見ていたんだが変わった様子も無くて、Bが愛想尽かしたんだろうと思ってた。
パタリとA子はうちの部署に姿を見せなくなったし、他の男には相変わらず愛想振り撒いてたんで
もう大丈夫だろうと胸を撫でおろした。
Bの直属の上司は一応俺なので正直立場上A子の存在は厄介だった。
実際周りの社員にも悪影響がで出していたし、一時期A子の上司であった事もあって少なからず頭を抱えていた。

そんな折、社員の一人が週末にカラオケに行こうと言いだし、部署の人間が乗ったので付き合いで俺もBも同行した。
しばらくは普通に楽しんでいたのだが中盤からBが頻繁にトイレに立つ様になった。
気になった俺は後をつけると、別の階でBが電話していた。
怒鳴ったり、諭したり。間違いなく相手はA子だろうと思った。
途中俺の存在に気付いてBは「また、電話する」と言って電話を切った。
「A子か?どうした?」
「……………」
「大丈夫なのか?」

本気で心配になって来た俺はBを無理矢理引き連れてカラオケの場を中抜けした。
「係長…すんません、ちょっとヤバイかもしれないです。なんか会社にいるみたいで」
「とりあえず行った方がいいんじゃないか?あの子追い込まれると結構弱いぞ」
俺は急に寒気がしてA子がリストカットでもしてるんじゃないかと心配になった。
何か修羅場的な感じで若干興奮してたのかもしれんが、とにかくタクシーを捕まえてBと一緒に会社に向かった。
道中、「最近の若い子は何をするかわからん」とわけのわからん事をほざきながら
もし首でも吊ってたら課長にどう説明しようなどとリーマン丸出しの考えを張り巡らせる俺だったがBは終始無言だった。
会社について守衛のおっさんに訳を話したが守衛のおっさんは女の子なんか見て無いと言う。
とにかく俺は微妙な係長権限で守衛のおっさんとBを引き連れてうちの部署に走った。

420 本当にあった怖い名無し sage 2008/09/23(火) 08:27:34 ID:EOJuEcwH0

扉を開けるとA子が尋常じゃ無いぐらい震えて立っていた。
「おいA子、お前こんな時間に会社で何してんだ?」
問いかける俺に対してA子は泣きながら「わかりません」とだけ答えた。
茫然と立ち尽くしているとBが「なにしてんねん、もうええやろ。カラオケ行こうや」と急にA子に話し掛けた。
A子は「ここから出れない、無理!ほんと無理!」とばかでかい声で叫び出した。
「見えてるもん!!いるもん!!私の足引っ張って、連れて行くってずっと言ってる!!」
もうほとんど狂乱状態で叫びつづけるA子に俺失禁寸前。守衛のおっさん唖然、茫然。
「無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理ぃ~!!!!!!!!!!!!」

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