Categories: 洒落怖

死んだはずの彼女

この怖い話は約 4 分で読めます。

609 死んだはずの彼女 1/1 sage New! 2008/08/02(土) 22:04:10 ID:/+n+bGN70
創作ですが投稿します。

「死にます」私の携帯にそうメールがきた。
彼女は17歳。21歳の私とは4歳差だ。何故、21歳の私と17歳の高校生の彼女が出会ったかというと、某巨大掲示板のとあるスレッドだった。
彼女と私の共通点はレズビアンであると言う事。
4歳も歳が離れているのに、彼女とは趣味や好きなものの嗜好が一致することが多かった。
そんな訳で、私は彼女を好きになってしまった。告白した時、彼女もOKしてくれた。その日から私と彼女はカップルとなり、お互い時間がある時に携帯メールをやりとりするのが日課となった。
しかしある日を境に彼女は鬱病になってしまった。

原因はきっと、忙しい学生生活にあるのだろう。私も、そんな忙しい学生だったから、彼女の気持ちはよく分かる。
けれど、カップルなんて他人同士がS極とN極でくっついているようなものだから、衝突してしまう時や誤解してしまう時もある。
彼女は、病気なった日を境に変わった。以前はあんなに明るかったのに、急に落ち込んだりするようになった。
私は、彼女の病気を理解してやることができなかった。そのせいで、彼女をとても傷つけてしまったときがあった。私はすぐに非があったのだから“ごめんね”のメールを入れた。
その翌日の事だった。
彼女から私の携帯に「死にます」とだけ書かれたメールが入ったのは。
私は、不定期な仕事だったので、その日はたまたま仕事が終わるのが早い時間だった。私は、仕事場から帰ろうとした時、携帯が鳴った。

610 死んだはずの彼女 2/1 sage New! 2008/08/02(土) 22:19:09 ID:/+n+bGN70
送信者は彼女。なんだろうと見ると、そこには「死にます」の文字。私は目をこすってもう一度、携帯の液晶画面を見た。
確かにそこには「死」の文字が。送信時間は12時56分。
私はとりあえず落ち着いて、「どうしたの?」と返信した。すると15分くらい経って、彼女から「もうこれ以上病気が酷くなりたくない」と返事が。
その言葉に彼女は本気で自殺するかもしれないと虫の知らせが来た。そしてしばらく「死ぬ」「生きる」の押し問答。
私が家に着いたのは3時20分。私は服も着替えずに、靴も玄関に脱ぎっぱなしにし、バッグも床に置いたまま返信した。
今度は、3時44分に返信がきた。「バイバイ」それだけだった。私は返信したが、もうそれ以降返事が返ってくることはなかった。
私は彼女の死を悟り、化粧が落ちるのも気にせずただただベッドに伏して泣いた。まるでドラマのヒロインみたいに。
泣いて泣いて、気がつけば夕方の6時半だった。私は涙でぐちゃぐちゃになった目を拭き、服を着替えようとした時、再び携帯が鳴った。
恐る恐る見てみると、彼女だった。そこには「やっぱり思いとどまったよ、迷惑かけてごめんね」という言葉が並んでいた。
私は良かった、諦めてくれたんだ、と喜びながらビートルズのCDでもでも聴きながら夕飯の支度をしようと冷蔵庫に向かい、肉じゃがの材料を出した。
その時はまだ気にとめなかった。
7時位になって、テレビをつけ、ニュース番組にした。
すると、真っ先に目にも耳にも飛び込んできたのは、17歳の高校生が飛び降り自殺、というテロップ。
私はのんきに肉じゃがを口に放りこみながらそれを見ていた。たまたまスペックが同じだけか、と聞いていると、妙に私には聞き覚えがあるスペックだった。
それは、群馬県前橋市という言葉。私はそういえば彼女は群馬の前橋に住んでたよなーと思いつつ、また放り込んだ。

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