Categories: 洒落怖

大人のお化け屋敷

この怖い話は約 3 分で読めます。

884 1/6 sage 2009/09/18(金) 19:34:19 ID:+pjO56E60
私の住んでいた街の神社の夏祭りは結構大きく、いろんな屋台の他にお化け屋敷・
バイク曲芸なども来ていた。なかでも「大人のお化け屋敷」と題された
催し物は、私たちの間で「子供は見ちゃいけないくらいグロテスクらしい」と噂になっていた。
お化け屋敷の小屋の外には、かなりいかがわしい絵の看板が打ちつけられていた。
なぜか全裸の下半身が蛸の女とか、化け物に襲われている女の絵もやはり着衣が
かなり乱れていていろいろ丸見えだった絵だった気がする。そして毎年、
ノートルダムのせむし男みたいな小男が不気味な客寄せの口上を述べていて、
なんだか異様な雰囲気が漂っていた。
もちろん子供は入場禁止だったが、駄目だといわれると余計に私たちの興味を
引き付ける。

885 2/6 sage 2009/09/18(金) 19:35:11 ID:+pjO56E60
小学5年の夏、私は仲の良い女の子と男の子2人の4人で『「大人のお化け屋敷」に
どうにか潜入する』という目的でお祭りに行った。
お化け屋敷には裏口があり、人のいない時にそこから入ろうと考えていたが、裏口の側に
は簡易の喫煙所が設けられていて交代で従業員?が休憩をしていて中に入る隙がない。
2時間ほど見張ってみたが、まるで裏口を見張っているかのように従業員たちは交代で
現れ、裏口から人がいなくなることはなかった。
調査がなかなか進まず、私たちはお化け屋敷を離れ、かき氷でも食べながらお祭り
会場である神社のはずれで作戦会議をすることにした。

そこは周りを木に囲まれた草むらで大きな土管が一つがあって、その土管は普段から
私たちの秘密基地としてよく使っていた。
その土管の中で「親の服を借りて、大人のふりをして入るか」とか、子供っぽいバカな
ことを真剣に話し合っていた。

886 3/6 sage 2009/09/18(金) 19:36:16 ID:+pjO56E60
その時土管の外に人の気配がして外を覗いてみると、神社の掃除をやっているお爺さんがいた。
そのお爺さんは何かとお菓子をくれたり優しくしてくれるので私たちも結構懐いていた。
「今日は何の悪だくみだ?」とお爺さんはニコニコしながら聞いてくる。
私たちは普通の大人になら言ったら怒られるので絶対言わないが、この爺さんにならと思い
「大人のお化け屋敷」に入ってみたいと相談した。爺さんは一瞬沈黙した。
怒られる?と思ったが、爺さんは意外な事を言った。

「入れるぞ?簡単に。」

私たちは「嘘だ~。」とか「入る隙なんてないじゃん。」とか口々に言った。
しかし爺さんは
「あそこは決まった時間に入場させて、客を案内しながら屋敷を歩いていく形を
とっているから、入場時間外に入口に行けば入れるぞ。」
私たちは「だって入口に係員がずっといるし。」と抗議すると
爺さんはにやりと笑って
「そん時は入れてくれる。入れてくれるが、出してはくれるかな~。
それこそ行きはよいよい帰りはこわいじゃ。」
なんだか話が急に変な方向に行き生ぬるい風が土管を流れていった気がした。

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