Categories: 洒落怖

呪われたツーリング

この怖い話は約 3 分で読めます。

29 本当にあった怖い名無し 2009/09/06(日) 19:10:08 ID:rYkHSOAHO
>>28続き
もう3時間歩き続けている。おかしい…。もうあの神社のある場所に出ても良いはずだ。
右手に夜空、左手に山の斜面を見続けて歩いているのだから間違いないはずだが…。もしかして気付かないうちに脇道に入ったか?
地図を広げてみたがもはや何の役にも立ちそうになかった。
暗い。雲が出ているのか月の明かりすらない。そして町の明かりも。懐中電灯がなかったら谷底へ転落してもおかしくない。

少し休もうと思い腰を下ろしタバコに火をつけた。近くで川の流れる音が聞こえるが入口にあった神社は見えない。やはり間違ったルートを下った様だ。
しかしどのみち今夜は野宿だ。もう歩きたくない。あとは明るくなってから考えよう。
万一クルマやバイクが通っても轢かれる心配のない場所を探して野宿しよう。そう考え再び歩き出した。

しばらくすると急に道が開け、今まで見た事のない風景に出くわした。
そこにいきなり村が現れたのだ。もちろん明かりの点いた家は全くない。廃村だ。
どうやら途中で枝別れしたこの廃村へと続く道を歩いて来たらしい。辺りを照らしてみると木造の半壊した建物ばかりだ。赤錆びた給水塔らしきものも見える。
かなり昔に放棄された村らしい。不気味ではあったが面白くもあり少し見て周った。

かなり小さな村のようで(村と言うか集落の一部?)狭い範囲に5~6戸程の小さい民家が斜面に並んでいる。その殆どがツタに覆われ壁の一部が崩れ去り部屋の中が見えるような状態だった。玄関に施錠はされているが意味はなさそうだ。
集落の中央には石段が通っていた。井戸が何箇所かあり、蓋が閉じられている。
記念に数枚写真を撮った。

そして比較的まともな一軒の玄関にもたれ顔にタオルを巻き、虫よけスプレーをかけ寝る事にした。地面に直に寝転ぶのを考えたらそれでもかなり有り難く思える。もうクタクタだ。すぐに睡魔が襲って来た。

32 本当にあった怖い名無し 2009/09/06(日) 19:15:25 ID:rYkHSOAHO

……………?
何か気配を感じて目が覚めた。俺が今居る玄関の中からの気配。
いや、気配ではなく音がするのだ。

「ミシッ…………ミシッ………」

ゆっくり何かが中を歩く音…。最初はただの家鳴りかと考えたがゆっくりとしたリズムを刻み床を踏む音が微かに聞こえて来る。玄関の上半分はスリガラスで中の様子は見えなかった。
「まさか人が居るのか…?」この廃墟に人が住むとは考えられなかったが、確かめようと思い寄り掛かったまま玄関に耳を当てた。
「ミシッ………ミシッ……」
間違いない。この家の中を歩き回ってる者がいる。
いつの間にか月が顔を出し不気味に廃墟群を浮かび上がらせていた。急に自分の置かれている状況がひどく恐ろしいものに感じられた。当然だ、こんな時間にこんな山奥の廃墟に人など居るはずがないからだ。

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