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635 3/7 sage 2009/09/10(木) 10:29:01 ID:hinMIqEV0
さっきの女。
「なんでやねん!!」本気でつっこんだのは初めてだった。
さっきと同じフラフラした歩き方、あのペースで追いつけるわけがない。
だって!今だって全然近付いてこない!
「カンベンしてくれよ!!」
1人で声に出して怒鳴った。
そこからめちゃくちゃに急いだ。
とにかくアイツから離れたい。
ただそれだけで走り続けた。
もうミラーは見れなくなっていた。
しばらく走ってるうちに少し落ち着いてきた。
待て、俺、これは死亡フラグやないか・・・
焦って運転誤ってあぼーんパターンやんか・・・
落ち着け落ち着け・・・と、少しアクセルを抜いた。
タバコに火をつけて窓を開ける。
木々がざわざわ鳴ってるのがどうしても人の声に聞こえて
ソッコーでタバコを灰皿にねじ込んで窓を閉めた。
そして、よせばいいのにミラーを見てしまった。
居る・・・ずっと後ろに・・・でもさっきよりは近い・・・
636 4/7 sage 2009/09/10(木) 10:29:51 ID:hinMIqEV0
とにかくカーブの続く山道なんで、後ろの女も見え隠れする。
長いこと見えない時もあった。
だが、次に見えたときには必ず距離を縮めていた。
少しずつ少しずつ近付いてくる。
追いつかれる前に山を抜けたい。
誰かに電話を・・・でも、携帯は圏外。
「くっそ!」携帯をリアシートに放り投げた。
精神的余裕がどんどん失われる。
ところどころにちょっと直線の道に出てくる。
その度に確実に近付いてる。
なんで!?あんなにスローモーやのに!
チラッとミラーを確認すると・・・
近い!もう5mも無い・・・
顔も見える。
霊って長い髪で隠しとくもんちゃうんかい!
顔出すな!ヴォケ!
すました無表情で歩いてくる。
プツンとCDが止まった。
ガチャガチャにボタンを押しまくったがうんともすんともいわない。
ミラーを捻じ曲げ、もう二度と振り返るまいと前を見据えてひたすら車を走らせた。
カーブの度にキーキーと音をたてる。
生コンの作業場のあるところに出た。
緩やかな左カーブ、暗いドアミラーの中に白く浮かび上がる影、
半泣きではなく、全泣きで走った。
この先右手は深い崖、落ちたら死ぬ・・・落ち着け!
今思えばちょっとおかしくなってたのかもしれない。
しょうもないことを思いついてしまった。
638 5/7 sage 2009/09/10(木) 10:31:23 ID:hinMIqEV0
これ、ミラーやから見えるんちゃうん?
実際に振り返ったら居らんのとちゃうん?
居っても見えへんのちゃう??
急ブレーキかけて停まった。
ガバッと振り返った。
女はトランクに手をかけて薄笑いを浮かべ、停まっているのに尚ゆらゆらと揺れていた。