Categories: 洒落怖

眠れない夜

この怖い話は約 3 分で読めます。

というわけで、額を元に戻し、テレビの電源を切って、目覚ましをセットした。
そのとき、視界の端で何かが動いたのが見えた。
テレビのリモコンが、文机の上を滑っていた。ひとりでに。
普段なら、ビビりの自分なら、それだけでかなりの怪異体験だと騒ぐはずなんだけど、この日は違った。たぶん、旅行疲れで頭が働いていなかったんだと思う。
とりあえず、その現象は無視することにした。
リモコンはそのまま床に落下した。

で、それを放置したまま、ベッドに潜り込み、枕元のスイッチで部屋の電気を消した。
瞬間、文机の上に置いていたペットボトルのお茶も落下したらしき音がした。
これもスルー。布団に入った途端、どっと疲れが押し寄せてきて、早く眠りに落ちたかった。

でも、それは妨害された。

430 本当にあった怖い名無し 2009/08/27(木) 00:53:39 ID:VKLMo7YiO
耳元後ろから聞こえる寝息が煩くて目が覚めた。
寝入りを邪魔されたことにイライラ。

ベッドから出ようとも思ったけど、電気を点けて下に降りる(うちのベッドは二段ベッドで、下はデスク)のも面倒で、そのままもう一度睡魔を待つ。

あぁ!
狭いシングルベッドに二人寝るのは夏はつらい!
隣で眠る彼氏が寝呆けて抱きついてくるのでさらに暑さ倍増。
寝返りも打てないっつの!

真っ暗な部屋の中、聞こえてくるのは時計の針の音と荒い息の音だけ。
こんな状況でどうやったら安眠出来るか教えて欲しいよ(_´Д`)

431 本当にあった怖い名無し sage 2009/08/27(木) 00:54:17 ID:fxlJ9d1eO

一瞬でまどろみかけたとき、耳元で話し声が聞こえた。
小さな声でボソボソと何か言ってる。
最初、眠たい頭でテレビの消し忘れだと考えた。めんどくさいけど気になって仕方ないから、一度起きて床に落ちたままのリモコンを拾い、電源を押した。
当然、最前まで見ていたエロ番組がついた。

おかしいなあと思いつつ、再び電源を押し、今度はきちんと消えていることを確認してから、今度こそ寝ることにした。
ボソボソ声はまだ続いている。しかも、さっきよりはっきりと聞き取れる。
二人だ。男の声と女の声。
男の方は低い声で「うう~、うう~」って唸ってるような感じ。お経でも読んでいるみたいで、女の方は明らかにすすり泣いていた。

これはあれだ。隣部屋の人が大音量でエロ番組見てるのが、こっちまで響いてきてるんだな。迷惑なオッサンだ。こっちは明日、早いってのに…。
そうでなかったら、どうせいつものアレなんだろ? いつも通りじゃないか。それよりもう寝るんだよ。

何故か自分はそう思い込んだ。
そのとき、耳元でひときわ大きな声が響いた。

「そうだよ」

本当にびっくりした。男の声だった。
一瞬で目が覚めた。よくよく考えてみると、ここは角部屋で壁の向こうに部屋なんかなく、しかも5階…。
急激に怖くなり、荷物をまとめると部屋を飛び出し、鍵をフロントに投げ渡すようにしてホテルを飛び出した。
その日は近くの城址公園で野宿した。本当に夏でよかったW

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