Categories: 洒落怖

亡者

この怖い話は約 3 分で読めます。

508 本当にあった怖い名無し New! 2009/05/17(日) 02:20:08 ID:rJFtDwh60
以前勤めていたある土木調査会社での体験です。
ちょっと長いですが。お付き合いしてください。

東京湾を望む広い埋立地に建っていたその会社は
バブル期の乱開発による不備(地盤沈下や排水不備等)の調査処理が本業でした。
が、陽気で人の良い社長は同時に大雑把で、関連業者からの依頼で
その他の雑務も処理していました。
例えば差し押さえた物品を空調設備のある会社一階の倉庫で管理するとかです。

就職してまだ間もない頃、
慣れない書類の整理が深夜近くまでかかったことがありました。
眠くなってきたので切り上げようとしたところ、外では雨が強く降っています。
まだ、開発されて間もない会社付近は夜は真っ暗でした。
また、一人暮らしでスクーター通勤の身としては帰るのも億劫で、
仮眠を取って翌朝早くに帰宅することにしました。
警備会社にその旨連絡し照明を省電モード(モーションセンサーで照明をコントロール)、
同僚のW君が教えてくれた場所から社長が買って置いてあるスコッチを少し頂き、
二階事務室の入り口横にあるキッチン兼仮眠室のソファアベッドに転がり、
掛け布団をかけて目を閉じました。

(続く)

509 本当にあった怖い名無し New! 2009/05/17(日) 02:22:32 ID:rJFtDwh60
空腹にストレートのスコッチが染み渡り、しばらくは心地よく眠っていました。
が、慣れないせまいソファベッドのせいか、ふっとめがさめました。
雨がやんで人も車も通らない深夜の埋立地は恐ろしく静かです。
眠り直そうとするのですが、駅前通りのアパート暮らしの私にはその静けさが不自然で、
五感が鋭敏になり、かえって目が覚めます。
そんな中で隣接する事務所から妙な雰囲気を感じました。
腕時計は寝る前に脱いだ衣類と一緒にテーブルにおいてあるので何時かはわかりません。
早朝出勤の社員なら、ちょっとこんな姿は見せられないと思い起きあがりました。
でもそうなら社員がキーと暗証番号を使ってビルに入った時点で省電モードから就業時用モードに移行して
事務室の電気がつくはずです。
でも、扉の無いドアの向こうで何かが動く気配が確実にします。

何の因縁も無い湾岸埋立地の築数年のビルの深夜に動き回るモノなんて、
強盗の類だと思いますよね?音を立てて相手に気取られたらおしまいです。
幸いソファは事務室からは見えない位置にあるので、静かにソファの下に転がり落ち、
そこで最低限の衣服を身に着けました。
その間も壁の向こうのモノの気配に気を配っていたのですが、幾人かがただ静かに徘徊しているだけで、
机の引き出しをあける音や、社長室(金庫がある)へのドアを開く音などがしてきません。

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