Categories: 洒落怖

赤い仏像

この怖い話は約 3 分で読めます。

『ミ、ミギュアァァァァ!!』

364 本当にあった怖い名無し sage New! 2009/05/04(月) 06:11:20 ID:nuJ7Q8cXO

ミギャーだかオギャーだか判らないが、例えるならそう猫が喧嘩をしてる時の、赤ん坊が泣いてるような鳴き声がこだました。

咄嗟に俺は走り出した。
後ろからは赤ん坊の泣き声と足音が響く。
捕まったら喰われる。
暗い暗い森に駆け込んで行く。

こういう時、人間の力とは恐ろしく思う。
正に飛ぶように枝葉を掻き分け山を下る訳だが、明かりも無い闇の中を、まるでどこにどう木が生えているのか誰かが教えてくれているかのように、ぶつかりもせず縫うように走っていった。
いや…知っていた?
が、途中ふいに足を取られる。
倒れる刹那何かが頭を過ぎる。
全身に衝撃を受け止めながら湿気った土の感触が広がる。
と、同時に土から血なまぐさいような変な匂いも感じた。

どうやらそこだけ草木も無く、僅かに開けているようだった。
痛みをこらえ飛び起きると、再び走り出す。

後ろには赤ん坊の泣き声が迫っている。
途中ワンワン!と吠えられる。
太郎だ。
ワンワン!ワンワン!と吠えている。
グルルルと二匹の唸り声が重なった。

俺は木陰に身を隠し、対峙する獣の様子を窺った。

ギャウン!太郎の弱々しい悲鳴が森に響く。
ボリボリと音が後に続く。
喰っている。

365 本当にあった怖い名無し sage New! 2009/05/04(月) 06:13:33 ID:nuJ7Q8cXO

俺は踵を返すと再び走り出した。

また赤ん坊の泣き声が近付いてきた。
どんどんどんどん大きくなる。
オギャーオギャーと泣いている。
息遣いまで聴こえてくる。

次の瞬間!背中に強い衝撃を受け地面に突っ伏した。
『うぅ…』
仰向けに寝返ると、ソレは俺の腹を踏みつけ抑えつける。
もう…駄目…だ。
ギョロギョロとした目が眼前に迫り、俺は気を失った。

目を覚ますと、住職と割烹着のおばさんが俺の顔を覗き込んでいた。
どうやら生きているらしい。
『ん…ここは?』

『おぉ!目が覚めたか!』
住職とおばさんは喜び顔を合わせる。

『俺は…?』

『婆さんが日課の餌やりに行ったらお前が倒れとるのを見付けてな、助けを呼んで今に至ると言う訳だ』
なるほど、助かったらしい。
昨日のアレは…夢?

366 本当にあった怖い名無し sage New! 2009/05/04(月) 06:14:58 ID:nuJ7Q8cXO

『痛っ!』
痛みを感じ布団を捲り足に目をやる。
歯形だ。

『あ~、それな。なんか咬まれてたみたいだから薬を塗っといた。なぁに傷は深くはない。剥き出しですまんが、あいにく包帯は切れとってな』
夢では無いようだ。

『ご迷惑お掛けしたみたいですみません。介抱して頂きありがとうございます』

『何か欲しいものない?』

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