Categories: 洒落怖

ついてくる犬

この怖い話は約 3 分で読めます。

もう20年以上前になりますか。
俺が高校生の頃の話ですが。

自転車で1時間ほど離れた里山に写真撮影に出かけたんです。当時一眼レフを買ってもらったばかりでした。
おにぎりを二つ、おかずにソーセージを持って。

山に至る道の両側には畑が広がってまして、作業してるじいちゃんばあちゃんがちらほら。

「あれ?」
前方に犬がいるんです。鎖を引きずったままトテトテ歩いてる。
口笛を吹くと止まってこっちを見てる。

日本犬の雑種かな。数年前に死んだうちの犬に雰囲気が似てる。
「おまえ、鎖引きずったままは危ないだろ。」
おにぎり半分食べさせながら鎖を取ってやりました。

そしたら付いて来る。
「もう何もやらん!(笑)」
ヘッヘッ言いながら走って付いて来る。

444 本当にあった怖い名無し sage 2013/03/15(金) 08:12:17.18 ID:XXLPWkj30
山の麓のキャンプ場に到着。犬と一緒に。
「一緒に登るか?ん?」
山といっても大した高さじゃないんです。往復2時間かかるかかからないか。
植物の写真を撮りながら登り始めました。
…夏でしたね。蝉が大合唱してました。

数組のハイキング客とすれ違いながら登って行きます。
「お、犬と一緒かー」
おじさんに珍しそうに声をかけられました。
7割ほど登った所でしたか。
何度か登った事のある山だったんですが。

445 本当にあった怖い名無し sage 2013/03/15(金) 08:13:45.76 ID:XXLPWkj30
「…こんなとこに脇道あったっけ??」

下草の生えた砂利道が左のほうに延びてる。
カーブしながら奥の方は…見えない。
ちょっと覗いて見よう。
歩いて行くと柱が2本。間には錆びた鎖が渡されて、奥に数棟のバンガロー?が見えた。

ワンワンッ!ウウウッ!!ワンッ!!

びっくりして後ろを見ると、付いて来てた犬が凄い形相で吠えてたんです。
俺にじゃなく、道の奥に向かって。
背中が冷たくなって、はっと前を見ました。

蝉の声が聞こえなくなってました。
冷たい風が奥のほうから吹いてきました。

あ、ここは入っちゃいけない場所なんだな。

急いで引き返して、もとの山道へ。
蝉の大合唱を聞いてホッとし、ふとあたりを見るとさっきまでいたはずの犬は
どこかに消えてました…
山を降りながら探したんですけどね。どこに行ったのか、見つかりませんでしたよ。

bronco

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