Categories: 洒落怖

引きずる

この怖い話は約 3 分で読めます。

「…すまんがこの荷物を預かってくれんかのう…」

と言ったらしい。
そこで友達は耐えられなくなって、その場から逃げ出した!

560 本当にあった怖い名無し 2009/02/08(日) 00:50:57 ID:CA8gn7Z0O
それから友達とは
「結局その荷物の中身はなんだったろうな」
「赤ん坊とか、バラバラにされた遺体の一部だったら怖いな」
などの話をしつつも、友達は部屋に戻ってきた安心感とお互い一人ではないので、少しずつ雰囲気も明るくなり、そんな話でも冗談混じりで話せるようになった。
で、その奇妙な老婆もそんな夜中に歩いてたから気味悪く感じるだけで、幽霊なんている訳でもなく、荷物も別に普通の荷物だよ、と。
現実的には、ただちょっとおかしなお婆さんに遭遇しちゃったね、で話は終わった。
で、その夜は友達も疲れていつもより早く寝てしまった。
俺は本当はそんなに眠たくなかったんだが、友達と睡眠サイクルを合わせないと一緒にゲームができないので、俺も無理にでも寝る事にした。
いつものように友達はベッドに寝て、俺は床に適当に寝た。
どうせ睡眠時間は短めにしか取らないから床でもかまわない。
しかし俺は眠たくなかったので、その夜は横にはなったもののなかなか眠れなかった。

561 本当にあった怖い名無し 2009/02/08(日) 00:53:50 ID:CA8gn7Z0O
どのくらい時間が過ぎたかよくわからなかったが、静まり返った部屋の外でエレベーターの動く音が聞こえた。
この部屋はエレベーターに一番近い部屋で、俺は横向きに寝てて床に直に耳がついている状態だったから、その音がやけに近く直接響いてくるような感じだった。
しばらくしてエレベーターが止まり、ドアが開く音がした。
どうやらこの部屋のある三階に誰かが降りたようだった。
今は多分もう夜中の四時を回ってるくらいの時間のはずだ。
この階の住人でそんなに遅い時間に帰ってくる人がいたのかと、俺は少し変に思った。
するとエレベーターはまた降りて行き、それから

ズルッ ズルッ

とひどく力のない、靴を擦りながら遅く歩いているような、足音が聞こえてきた。

562 本当にあった怖い名無し 2009/02/08(日) 00:56:48 ID:CA8gn7Z0O
その足音が耳を床に直につけている俺には直接伝わってくる。
ひどくその音が不快に感じたし、眠りを妨げるためにわざとその音を出しているように感じたくらいだった。
その時に気づいたんだが、その不快な音は明らかに足音だけでなく何か重たい物を引きずっているような音だった。
さっきまで忘れていたのに、すぐに友達が遭遇した老婆の事を思い出した。

まさか。

そう思った時、俺は直感的に動いてはいけないと思った。
その音が直接耳に伝わってくるのが不快で体を動かしたかったが、動いてはいけないと思った。
必死で俺はそのズルッズルッという音を我慢しながら「早く通りすぎてくれ!」
と強く思った。
だがその荷物が相当重いのか、それとも本当にそれが俺の思う老婆なのか、その移動する足音は異常に遅かった。
やがてその足音は止まったのだが、この部屋のドアを通りすぎたようには聞こえなかった。

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