Categories: 洒落怖

金縛り

この怖い話は約 3 分で読めます。

49 金縛り4 2011/08/11(木) 16:37:20.50 ID:L/lMZ3RX0

いったい何を呟いたのか訊ねると、「それが幻聴なんだよ。なぜ
子供が幽霊になったか、自分が無意識に作り上げたストーリーを
聞いているようなもんだ。そういうのを信じると、幻聴だけでは
済まなくなるぞ」と言われた。
そして本部(本社)からも、連続勤務して大丈夫か?これまで誰も
経験したことないが、という問い合わせが福隊長にあったそうだ。
「仮眠室では寝ないし、枕が変ると眠れないっす。ずっとテレビ見てれば、
変な物音も気にならないっす」と返答した。

そしてお盆休みに入る前日、二週間が何事もなく過ぎていた。
ただ、夏休みに帰省した友人と連日昼間遊び、その日はあきらかに睡眠不足だった。
勤務中に睡魔に襲われ、何度も顔を洗ったりしたが、いよいよ1時の休憩時間になった。

機械室で仮眠を取ろうと思ったが、その夜はボイラーの修理作業で使えなかった。
「一度くらい金縛りも経験しとくか」仮眠室の畳の上に大の字になった時、
幽霊の怖さよりも、睡眠の欲求が勝っていたと思う。

50 金縛り5 2011/08/11(木) 16:39:25.95 ID:L/lMZ3RX0

子供の声で目覚めた時、指先すら動かせなかった。
仰向けになったまま、姿に見えない子供の声が耳元で大きくなっていく。
「助けて、助けて」最初はそう囁いていたが、相手の方へ顔を向けよう
として、徐々にその声が泣き声から叫び声に変っていった。

「怖いよおおおおおー、助けてええええええー」鼓膜が破れんばかりの
絶叫で気を失いそうになりながらも、必死に体を動かそうともがいていると、
すっとその声が消えた。
首が動いたと思った瞬間、寝ている自分の横でドサッと音がして、
薄目を開けた女性の顔が目に入った。

驚きのあまり悲鳴を漏らすと、ふいに体の自由が戻った。
部屋の電気は煌々とついていたし、週刊誌やテレビのリモコンも目に入った。
壁の時計を見ると二時四十分。
自分でもよく分からないが、すぐにテレビをつけようと思った。
枕もとのリモコンに手を伸ばしたが、黒いプラスチックの感触がなかった。

おかしい、おかしい、おかしい、おかしい、再び鼓動が速まり、突然目の前が
真っ暗になった。

51 金縛り6 2011/08/11(木) 16:42:21.93 ID:L/lMZ3RX0

そこで初めて金縛りが解けていないことに気づくと、
今度は足元から荒い呼吸音のようなものが聞こえてきた。
来るな、来るな、来るな、そう必死に念じながら、
この場所で女と子供が殺されたんだと閃いた。

じゃあ、誰が殺したんだ?そう思った瞬間、男の激しい吐息が
聞こえてきた。それもまた近づいてくる。
逃れようとして必死に体を動かそうとすると、まるで押さえ
込まれるかのように、胸が激しく圧迫され、呼吸ができなくなった。
おそらくそれで気を失ったのだろう。

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