Categories: 洒落怖

天窓

この怖い話は約 3 分で読めます。

驚きました。実際どのくらいの音だったかはわからないんですが、少なくとも私の耳には強烈な音として聞こえました。
振り返ると、数年前に死んでしまった祖父の写真たてが床に転がっていました。
両親が共働きでほとんど家にいない中、ずっと世話をしてくれていた親に等しい祖父です。
何で落ちたのか、そもそも落ちるような位置にあったとは思えませんが、とにかく落ちてガラスも割れているのがわかりました。
あららぁ、と思い、写真たてを拾い上げふっと再び天窓の方を向きました。
・・・いました。
そいつは顔半分くらいを出し、こちらをじーーーーっと見ていました。

98 ④ 2011/08/11(木) 23:01:58.94 ID:ggLDBzFr0
存在が希薄というか、透けているようにも見えました。
顔は焼け爛れているように見え、何故かはわかりませんが憎悪し、睨み付けるような目でこちらを見ていました。
この世のものでないであろうと感じました。とにかくひどい形相だったのを覚えています。
意味がわかりません。一体何だというのか。目も離せませんし声も出せません。固まっていました。
数分後、アレが屋根の上を音など全くさせないまま消え、
私の体が動くようになったとき、襲ってきたものは体の芯からくるような強烈な寒気でした。
歯がガチガチいって収まりませんでした。アレには叫んでも、すごんでもどうにもならないと直感的にわかりました。
私は祖父の写真を無意識のうちに胸に抱えたまま部屋を出ました。

99 ⑤ 2011/08/11(木) 23:02:29.36 ID:ggLDBzFr0
この件について昔からこの土地で暮らしてきた父親に相談したところ、「そうか・・・」と言い、
少し考えた後、今家が建っているこの場所は大昔問題があったこと、
そして、何もしないのならばとにかく無視しなさい、忘れなさい。どうしようもないからと言いました。
また、それ以上は知ったとして何も良いことはないとも言っていました。
その後、ちょっと家族親戚の出入りが増えた気がしますが私は昼間ほとんどいませんし、あえて意識しないようにしました。
だって言うでしょ?知らぬが仏って。まぁ、多少の期間は既に家を出ている兄貴の部屋に荷物を移して借りましたが。
それからしばらくして私は自らの部屋に完全に戻ると同時に、
天窓に簡易シャッターのようなものを上から取り付けピシャッと閉じてしまいました。
結局、天窓はアレが出てから結局一度も開けませんでした。

100 ⑥ 2011/08/11(木) 23:02:50.75 ID:ggLDBzFr0
それから半年の月日がたちましたが、特に身体に異変があるとか、悪いことがあったとかそういうことは今のところはないようです。
でもアレ、いなくなってはいないと思います。
だって時々シャッターの方向から音がするんですもん。
コンコン、カリカリ、コンコン、カリカリって
部屋の他の窓には影も映ることはないですし、不思議と開けても問題ないんです。あの天窓だけなんですね。不思議です。
何にしても、私に現状わかることはあそこだけは今は開けてはならない、ということだけです。まぁほっとこうと思います。
祖父の写真や、形見などは綺麗にして変わらず部屋に置いてあります。案外守ってくれたり、してるのかな?
私がこの家を出ることになっても、ずっと大切にしようと思います。

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