Categories: 洒落怖

トンじい

この怖い話は約 3 分で読めます。

では私が体験した実話を投稿します。これは紛れもない事実であります。

私の出身地は古くからの部落差別の残る地域でした。
当時わたしは小学生でした。部落差別があるといっても、それは大人の世界での話で幼い私には差別などわかりませんでした。
子供同士はどこの地区出身かなど関わりなく仲良くなりますし、大人達は罪悪感があるのか子供達の前では部落の話を避けているふしがありましたので普段の生活で意識することはあまりありませんでした。
ただ、○○地区のヤツは気が荒いあまり仲良くなるな。ということは言われた事があります。
○○地区とは、海沿いにある2つの町を差す地域で確かに不良が多かったのです。
当時僕は○○地区の友達Y君と仲が良くて放課後はいつもY君と遊んでいました。
当時僕たちは釣りに夢中になっていました。Y君の家の近くには海があり、よくY君のお父さんの釣竿を借りては、穴場を探して海の周りを探索し、釣りをしていました。

このY君のお父さんはとても怖い人でした。いつも家にいて、がっしりとした体に短く駆った坊主頭といつもなにかを睨み付けてるような目をしていました。
その怖い外見の通りに気も短くY君の家でうるさく騒ごうものなら大声で
黙れ、ぶち殺すど!と過激な言葉を使い怒鳴りつけてきました。
幼い僕には苦手な大人でした。
ですのでY君お父さんから借りた釣竿を使うときには、絶対に傷つけないよう注意して扱っていました。

373 じつ8② sage 2009/11/29(日) 21:10:23 ID:7p3nKMO3O
ある日Y君と二人で、海のそばの林に入り、釣りのためのスポットを探していると古いトンネルを見つけました。
とても小さなトンネルで、長さは5メートルぐらいだったと思います。
中にはゴミが散乱していました。
薄暗いトンネルを抜けた先には釣りのできそうな入江がみえます。
僕たちはトンネルを秘密基地にしようと喜びトンネル内に荷物を置いて先の入江で釣りをはじめました。
暫く時間が経ちましたが、魚は全く釣れず退屈していました。
すると突然背後から
「釣れるか?」 という声が聞こえました。
驚き振り返ると、破れた服を着た老人が立っていました。
僕は老人から漂う悪臭に思わず顔をしかめました。
白髪混じりの老人の髪は油っぽくふけだらけで、しわだらけの皮膚の色は黒ずんでいました。
老人は、だるそうに黙って僕たちを見ていました。
その右手には僕たちの荷物があります。
体がすくんで固まる僕の隣で、怯えた声でY君がいいました。
「それ俺たちのです」
「やっぱりか、わしの家にあった」
老人の声はとてもしゃがれていました。無表情だった顔を動かし目を細めて
「あんなとこに置くと誰かに盗まれるぞ」
と笑い荷物を置いてトンネルの中に入っていきました。

375 じつ8③ sage 2009/11/29(日) 21:28:29 ID:7p3nKMO3O
残された僕たちは荷物に駆け寄ると顔見合わせて動揺しました。
老人のような人間をみるのは初めてだったのです。一体何者なんだろうと二人で話しました。

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