Categories: 洒落怖

妹思いの兄

この怖い話は約 3 分で読めます。

これは先輩の友人が体験した話だ。
その友人にはまだ十代の妹がいた。
妹は高校中退した後、ふとしたきっかけでホスト遊びにはまり、
ちょっとした借金ができたそうだ。

そしてお決まりのコースよろしく、相手のホストから闇金を紹介され、風俗勤めすることになった。
けれど彼女は三日ともたず、切羽詰って家の金に手を出したという。

210: 本当にあった怖い名無し:2005/11/06(日) 01:13:24 ID:L3tRG75G0
もともと実家は土建屋をやっていて、バブルの頃は羽振りも良かった
そうだが、その頃には、かなり経営も行き詰っていたらしい。
金を使い込まれたことがきっかけになり、親の会社は不渡りを出し、ついには倒産したそうだ。

住んでいた土地も追われ、一家離散。
彼女は自分のしでかしたことを、自殺することで償った、というか
逃げ出したのかもしれない。

妹思いだった兄は、深い悲しみが激しい憤りへと変わり、
闇金を紹介したホストに復讐することを誓う。

211: 本当にあった怖い名無し:2005/11/06(日) 01:14:04 ID:L3tRG75G0
ただ、失意の両親をこれ以上追い詰めるような真似だけはしたくない。
そこで先輩に相談したところ、ちょっと怖い思いをさせてやるか、となったそうだ。

ある日の朝早く、酔っ払って店を出るホストを待ち伏せして、
先輩ら三人でさらったそうだ。
車のトランクに押し込み、連れて行ったのは山奥の廃墟になったモーテル。

荒れ果てた一室に、手錠をかけたままのホストを監禁。
先輩の友人は、あらかじめ準備していたものを取り出し、ホストの前に置いた。

212: 本当にあった怖い名無し:2005/11/06(日) 01:14:51 ID:L3tRG75G0
「この写真の女の子を覚えてるな」
それは亡くなった妹の遺影だった。

「○○はおまえに詫びてもらうまで成仏できないって、夜な夜な枕元に立つんだ」
遺影の横に、白い布で包んだ木箱を並べる。
「一日かけて謝れ。今夜枕元に出なかったら、迎えに来てやる」

この話がどこまで本当なのか、先輩は分からなかったと言う。
ただ、喉の渇きを訴えるホストに、その友人は自らペットボトルの水を与えたそうだ。
その姿は、本当に妹に詫びて欲しいように見えたらしい。

213: 本当にあった怖い名無し:2005/11/06(日) 01:15:40 ID:L3tRG75G0
翌朝、明け方に三人で集合し、再び山奥の廃墟へと。
みんなかなり緊張しながら、部屋のドアを開けると、

・・・そこはもぬけの殻だった。

手錠は片方が洗面台の配管にかけられていて、身体の自由はきかない
はずだった。それでも、玩具の手錠。釘一本で簡単に開けられるのかもしれなかった。

財布や携帯は取り上げてあったが、モーテルの目の前は旧道。
疎らとはいえ、地元の車の往来はある。
「逃げやがった」
先輩らは周りを探すのを諦め、車に戻ることにした。
その友人は遺影を脇にして、両手で木箱を持つと、声を上げた。
「えっ、何だこれ」

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