Categories: 洒落怖

親父の謎の行動

この怖い話は約 2 分で読めます。

訳も分からないし、苦しかったから思いっきり暴れたんだけど
親父が力を緩める様子は全く無し。
子供心に「これはヤバいんじゃないのか!?」と思い始めた時
おふくろがタオルと着替えを持って脱衣所に入って来たみたいで
それに気付いたのか、親父の力が抜けたのね。

「今だ!」って思ったかどうかは定かじゃないけど、まだ頭の上にあった親父の手を払いのけて
湯槽から飛び出さんばかりの勢いで上がり
荒く呼吸をしながら親父の顔を見たら無表情なの。
何の感情もこもってないような目で俺を見つめて
だけど声だけは明るく、おふくろと何か話してる。

俺は恐怖と混乱で、おふくろに助けを求めようにも声は出ないし
息をしてるはずなのに苦しさが増していくようで、体を動かすことも出来ずにいたんだけど
話が終わったのか(実際は二言三言だと思うが、俺には長く感じた)
おふくろが脱衣所を出て扉を閉めた瞬間、親父がいつもの顔に戻って
「そろそろ上がるか」って笑顔で言った。

不思議なことに、その笑顔を見た瞬間に恐怖と混乱は嘘のように消え去り
呼吸も落ち着いて、体も動くようになったんだけど
そのあと脱衣所で親父に頭を拭かれながら
「もうお父さんと風呂に入るのは卒業だな」と思ったのを覚えてる。

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bronco

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bronco
Tags: 幽霊

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