Categories: 洒落怖

掛け軸

この怖い話は約 3 分で読めます。

442 1/9 sage New! 2011/09/02(金) 00:58:18.78 ID:k80GphTNI
少し長くなるけど暇潰しにでも詠んでね。

2ヶ月ほど前、友人数名と旅行に行く事になった。
日頃の自分達へのご褒美という事でのんびり温泉でも入れるところをとネットで色々探したところ山あいにある雰囲気のいい温泉宿があり、友人も乗り気だったのでそこに予約を入れた。

そして旅行日当日。
宿に着くまで観光地を周り久しぶりの骨休めを満喫。友人達とバカをしながら写真を撮ったりし、大いに盛り上がった。
時刻が14時過ぎくらいになり、早めにチェックインをしてまったりしようという流れに…

先ほどまで人で溢れ賑やかだった地から、気持ち寂しげな山あいへと車を走らせる。
1時間ほど走ったところで「おいでませ」の看板と共に雰囲気のある温泉街が目の前にあらわれた。
ゆるゆると流れる川を挟むように、温泉宿が軒を連ねてる。
自分達が予約している宿を探しながらのろのろと車を進めていると、「いかにも」といった雰囲気を醸し出す年季の入った宿を発見。
写真よりかなり古めな感じだが、自分達の予約を取った温泉宿だった。

443 2/9 sage New! 2011/09/02(金) 00:59:08.85 ID:k80GphTNI
あまりの年季の入りように少々戸惑いつつも、荷物を持ち中へ入ってみる。

期待を裏切らずロビーも古めかしい…お土産用の売店だろうか?ショーケースの中はガラガラで適当に数個土産物を置いてある。
受付に立っていたのは旅館の女将で痩せ細っていてお世辞にも綺麗とはいえない…が、人当たりはよく部屋まで案内してくれた。

部屋へ通されると意外にも広くて綺麗。窓の外には中央に流れる川が眼前に見下ろせ眺めも最高。
俺達はさっきまでのだだ下がりだったテンションは何処吹く風で、初めての修学旅行に来た中学生のようにはしゃぐ。
その光景を見ていた女将は軽く笑いながら食事の時間を知らせ「ごゆっくり」と丁寧に頭を下げ部屋から出ていった。
部屋を改めて見回しているとある物に目が留まった。

古い掛け軸だ。

444 3/9 sage New! 2011/09/02(金) 01:00:06.81 ID:k80GphTNI
まさか…裏にお札が貼ってあったり…
と友人と冷やかしながらめくってみると…壁にお札が…貼られてはなかった。
その一連の流れにまた笑いながら、とりあえず最上階にある温泉に入りにいった。

温泉も最高に気持ちよく、浴衣姿となった俺達は部屋に戻ると自販機で買った冷たいビールで乾杯した。
……?。掛け軸が少しずれているような気がしたが、さっきあたった事でずれてしまったんだろうと気にするのをやめた。

部屋に運ばれた夕食は失礼ながら宿に似合わず豪華で思わず写真を撮ってしまうほどだった。
しこたま食べ、しこたま飲んだ俺達は敷いてもらった布団にころがった。
一息ついた俺はふらふらと立ち上がり窓から外を眺めた。
そこには川の両岸に赤提灯がずらりと並び、怪しくまわりを照らす光景に酔いがまわったのか非現実的なもののように見えた。

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