Categories: 洒落怖

掛け軸

この怖い話は約 3 分で読めます。

445 4/9 sage New! 2011/09/02(金) 01:00:51.36 ID:k80GphTNI
赤提灯の光景に惹かれるように、なぜか無性に河原を歩きたくなった。

友人を誘おうとするが二人とも一眠りしたいとのこと。仕方なく一人で下駄をからころ言わせ外へと出た。
川に沿って立ち並ぶ赤提灯の光景は間近で見ると尚幻想的で吸い込まれそうな気分になる。
橋の袂から川縁へ降りる階段がありきれいに整備された川縁をからころとゆったり歩く。

から………からん。
から………からん。

…俺の歩幅と合わせるように下駄の音が重なって聞こえる。
振り返ってみるが誰もいない。寂れた温泉街、周りを見渡しても歩いているのは俺一人。
音が反響してるのかな?と思いながらまた歩き始める。

446 5/9 sage New! 2011/09/02(金) 01:01:40.73 ID:k80GphTNI
から…からん。
から…からん。

また聞こえる。さっきより近づいてるような気がした。
振り返ってみるが…やはり誰もいない。少し気になりながらもまた歩き始める。

か…からん。
か…からん。

…寒くはないのに全身が粟立つ…すぐ…後ろにいる。。。
後ろを振り向けずにいると誰かが肩に手をかけた。
「だーれだ?」
ふざけながら言う聞き覚えのある声。友人のAだ。
「お前…ふざけんなよ…!」と半泣きを隠しながら手を振りほどこうとするが、笑いながら強引に肩を揉み出すA。
拍子抜けした俺は後ろに立つAに肩を揉まれながらまた歩きだした。
たわいもない話をしながら歩いてるとAが急にかくれんぼをしようと言いだした。
こんな一本道で隠れるとこねーよと思いつつ、「宿に戻るまでに見つけたらビール奢りな」とAに言って20秒数える事にした。

447 6/9 sage New! 2011/09/02(金) 01:02:23.51 ID:k80GphTNI
いい大人が川縁で目を瞑り20秒声を出してカウントダウン。そんな自分に笑いながらカウントダウンしていく。

ペタペタ…と走り去る音が聞こえる。
裸足かよあいつ…と思いながら20秒を数え終え後ろを振り返る。
あれ?マジでいねーし…足はえーなあいつ、と笑いながらからころ言わせ宿へと小走りで戻っていった。

結局、宿に着くまで見つける事はできなかった。
部屋へと戻るとAとBはテレビを見ながらまた飲んでた。ほれ、と自販機で買ったビールをAに渡す。
おうサンキューと言いながら受け取るA。「俺には?」とBが聞いてきたが華麗にスルー。
「足はえーなお前」とAに言いながらAの足を見る…が全然汚れてない。
洗ってきたのか?と思いつつ、ビールを飲み出した。

449 7/9 sage New! 2011/09/02(金) 01:03:22.87 ID:k80GphTNI
尿意を催し夜中に目が覚めた。
いつのまにか眠ってしまってたみたいだ。テレビはつけたままでテレビショッピングが流れている。
トイレに行きすっきりした俺はテレビを消し窓際へ腰をかけて外を見る。
まだ赤提灯は照らされたまま。?…時間は分からないがこんな夜中に誰か浴衣姿で川縁を歩いてる。
目をこらして見ていると、不意にこちらへ振り返った…Aだ。

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