Categories: 洒落怖

守るため

この怖い話は約 3 分で読めます。

640 本当にあった怖い名無し 2011/10/06(木) 14:20:02.08 ID:GNkVFYKo0
ある時、配達でみんな出払ってしまい、店には私とKくんの2人きりということがあった。
Kくんは事務所の中にこもって、何かやっている。
その日は客が多く、レジが混雑してきた。
私1人では回すのが難しくなってきたので、Kくんに応援を頼もうと、客が途絶えた瞬間を
見計らって事務所のドアの外から呼びかけた。

「Kくーん、ちょっと出てきてもらっていいー?」

事務所の中からは返事がない。
事務所のドアは上1/3くらいが曇りガラスになっていて、外から中の様子がぼんやりと
窺える。
スタッフジャンパーを着た人影が中で動いていたので、Kくんが確実に中にいることは
わかった。
聞こえてないのかと思い、ドアを開けて直接話すことにした。
ガチャガチャ……。Kくん、内側から鍵かけてやがる。
この忙しい時に何やってるんだか…怒りに任せてしばらくドアノブをガチャガチャやり
ながら、大声で中のKくんに呼びかけていた。

641 本当にあった怖い名無し 2011/10/06(木) 14:22:53.00 ID:GNkVFYKo0
「Kくん?何やってるの?ちょっとレジ手伝ってほしいんだけど」

その時、背後から声がした。

「あのぉ~Mさん?何やってんすか?」

Kくんだった。あれ?事務所の中にいるはずじゃ……。

Kくんは店の裏で掃除をしていたのだという。
じゃあ今、事務所の中にいる人は誰?
そう思った時、いくらやっても開かなかったドアが、あっさりと開いた。
中には……誰もいなかった。
確かにスタッフジャンパーを着た人影が動くのを私は見た。だからKくんが中にいると
思ったのだ。しかしKくんはずっと店の裏にいた。
事務所には窓がなく、出入りするにはこのドアを使うしかない。
じゃあ私が見た事務所の中の、スタッフジャンパーを着た人はどこへ行ってしまったの
だろう。
背筋に冷たいものが走った。

643 本当にあった怖い名無し 2011/10/06(木) 14:28:44.03 ID:GNkVFYKo0
その後は客の相手に忙しく、真相を突き止める暇が無かったので、このことはうやむやに
なってしまった。
Kくんが何か嘘をついているようには見えなかったし、深く考えると怖いので、考えない
ようにした。

それから数日後、出勤すると店の裏口に花が供えられていた。
数年前に起こった事件…その日は被害者の命日だった。
毎年この日になると、遺族が夜のうちにひっそりと花を供えに来ている。
事務所の中には小さな仏壇がある。毎年、花はその仏壇に挙げていた。
それからしばらくして花は枯れてしまうが、スタッフの誰もその枯れた花を始末しない。
なんとなく、触れたくないとみんな思っているようだ。
仕方なく、私が手を伸ばした。その時だった。

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