Categories: 洒落怖

魔樹

この怖い話は約 3 分で読めます。

131 【魔樹】全10レス sage 2011/12/04(日) 18:40:08.16 ID:bPIL5hLh0
Bとは今勤めている会社で知り合った。俺が入社した時、いろいろ面倒を見てくれたのがBだ。
Bの指導は大雑把なもので、几帳面な俺はかなり戸惑ってしまった。
だが同い年であったことと出身地が同じであったことで、一気に親しくなっていった。
俺とBは毎日ように飲みに行った。2人とも車が好きで、話題には事欠かなかった。
だが、入社して半年ほど経ったころからBの付き合いが悪くなった。
俺たちの関係はいたって良好だが、飲みに行く回数は明らかに減っていた。
慣れない環境に居る俺に、気を使っていてくれたのだろうか?
そういえばBは意外と酒の量は少ない。元々そんなに飲むタイプでは無いのかもしれない。
それから3ヶ月程経つと、次第に俺たちの会話は少なくなっていた。
俺からは話しかけるのだが、Bから話しかけてくることが少ない。
あったとしても仕事の内容がほとんどだ。

132 【魔樹】全10レス sage 2011/12/04(日) 18:41:00.86 ID:bPIL5hLh0
何か悪いことでもしてしまったのだろうか?
俺は他の同僚に相談したが、皆一様にBに変わった様子は無いという。
以前は明るくて、毎晩のように飲みに行っていた…と説明しても、何故か皆そろって釈然としない表情だ。
俺は理解に苦しんだが、考える時間は与えられなかった。
というのもBが突然無断欠勤し、それから一週間もの間出勤することがなかったのだ。
俺や上司は何度も連絡したが、その都度徒労に終わっってしまった。緊急連絡先となっていたBの実家の電話番号は使用されていなかった。
心配になった俺は上司にBの住所を聞き、様子を伺いに行くことにした。
昭和を思わせる古い木造アパート。敷地は荒れ果て、雑草が生い茂っている。
Bの部屋は2階の一番奥だろう。錆びだらけの階段を上り通路を進むと、確かにBの名が記された表札があった。
ドアの新聞受けは溢れかえっている。

133 【魔樹】全10レス sage 2011/12/04(日) 18:41:54.74 ID:bPIL5hLh0
親しい仲であったものの、こうしてBの部屋を訪れるのは初めてだ。
俺は呼び鈴を押した。
………
反応が無い。居ないのか?今度はドアをノックし、自分の声で呼びかけた。
「B!居るか!○○(俺)だけど!」
………
やはり返事は返って来ない。
寝ているか、外出しているのだろう。
「だが待てよ、何か重い病気で動けないのかも知れない」
そう思い、俺はそっとドアノブを廻した。
鍵は掛かっておらず、ドアは開いた。「ギギギギギ」と不必要なほど大きな音を上げながら。
いきなり面食らってしまった。
玄関は何故か泥まみれだ。奥のドアまでその泥は続いている。とても靴無しでは上がることは出来ない。
暫く思案したが、悪いと思いながらも土足のまま中へ入ることにした。
玄関を入ってすぐの所にキッチンがあり、シンクには並々と水が張られている。そこには小さな虫の死骸が幾つも浮かんでいた。
何故か食器類は見当たらない。何だかよく分からないが、キッチンを見ていても仕方が無い。

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