Categories: 洒落怖

魔樹

この怖い話は約 3 分で読めます。

134 【魔樹】全10レス sage 2011/12/04(日) 18:42:40.71 ID:bPIL5hLh0
恐らく1Kであるから、Bが居るとすればこの先の部屋か、トイレ、風呂のどれかだろう。
そう思いシンクから目を離すと、部屋へ続くドアが少し開いていることに気が付いた。
隙間からは何も見えない。不気味な雰囲気が漂ってくるのは気のせいだろうか?
「………」
俺は意を決してドアを開いた。
部屋の明かりは消えている。6畳ほどの広さ。カーテンから僅かに光が漏れている。
何も無い部屋だ…テレビも、テーブルも、家具や家電は何も無い。
だが…部屋の一角…ひときわ大きな、そしてドス黒い大きな影を見つけた。
その影の主は、なんと2メートル以上はある巨大な朽木だった。
それは小さな部屋には収まりきらず、天上を少し突き破っている。全体が黒く変色していて、ぐっしょりと湿っているようだ。
下の方に生えたカビともコケとも判らぬ奇妙な植物が畳に広がっていた。
所々に赤黒い布のような物が無造作に巻きつけられ、その上に見たことも無い字で何か書かれている。

136 【魔樹】全10レス sage 2011/12/04(日) 18:43:45.44 ID:bPIL5hLh0
「な…なんだ、これ?」
この朽木の異様さも勿論だが、なぜこんな物がBの部屋にあるのか?
よく見ると、木の左右には自然石だろうか…サッカーボール程の石が階段状に器用に積まれている。
それは腰の高さほどで、一番上には蝋燭が無造作に散らばっている。
他にも様々な仏具のような物が散らばっているが、その用途や名称は分からない。
俺は部屋の明かりをつけようと、スイッチの紐を引っ張った。
だが何度引っ張っても、蛍光灯は光を灯さない。
突然、顔に何かが触れた。
「うわっ!」
咄嗟に手で払って気が付いた。薄暗いため見えなかったが、所々に小バエが居るようだ。
不気味で巨大な朽木と儀式の様な形跡、不衛生極まりない部屋。
一体Bの身に何が起きたのだろうか?

137 【魔樹】全10レス sage 2011/12/04(日) 18:44:46.77 ID:bPIL5hLh0
Bのことは心配だが、正直なところ俺はさっさと退散してしまいたいたかった。恐らくBは居ないだろう。
帰りに風呂とトイレを覗いて、それでアパートを出よう。あとは警察に連絡すればいい。
そう思い部屋を出ようとした時。
「パリ」
「!?」
何かが聞こえた。
「ペリ」
「!!」
まただ。木だ。朽木から音が聞こえる。
もう嫌だ。こんなところからは逃げ出したい。
しかし本心とは裏腹に、確認せずには要られない。きっと虫がいるのだ。そうであって欲しい。
俺は朽木に近づき、目を凝らした。
よく見ると、所々に大きな釘が深々と打ち付けられている。また気味の悪い物を見つけてしまった。
そう思いながら朽木の表面を舐めるように見回していたその時。

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