この怖い話は約 3 分で読めます。

私は彼女がいなくなってから、その日塾だったことに気づいたので、彼女のクラスを訪ねました。
先生に香川さんはここ三日ほど登校していないと言われてぞっとしました。
私に会うために学校まで来たのかと思うと、彼女に呼び出されたのが急に怖くなって、「塾もあるからしかたない、しかたない」と自分に言い聞かせて、約束をすっぽかしました。
なんとなく不安なまま過ごした私は、塾からの帰り道、へとへとで家まで帰る途中誰かが道にうずくまっているのに気づきました。
夜十時近くだったと思うのですが、それは香川さんでした。
私がびっくりして声をかけると、「よかった。来てくれてよかった」と泣いて喜びます。
私はそこで気づいたのですが、そこはちょうど香川さんに指定されていた場所で、もしかしなくともずっと待っていたのかと思ってかわいそうになってしまいました。
香川さんはまだ包帯や湿布、それに帽子を身につけていて、とりあえず公園まで二人で歩いて座ると、泣きながら喋り出しました。
彼女はまず、飼い猫に小さなことでついむしゃくしゃして、二週間ほど前に殺してしまったのだと告白しました。
私が殺したことにして欲しいと頼んできた例の猫は、彼女自身が絞め殺していたのです。

485 本当にあった怖い名無し sage 2011/07/24(日) 21:50:04.78 ID:AI1AgOA+O
彼女が言うにはそれから立て続けに怖い体験をするようになったので、それを猫の霊のしわざだと考えて、それらしいような噂がたっていた私に、霊を押しつけようとしたのだそうです。
ひどいことをしたのは謝るから一緒にお祓いに来てほしいと言われました。
自分だけが受けるべき呪いが私にも降りかかっていたら申し訳ないからと。私は気になって、「怖い体験って?」と聞いてしまいました。
香川さんは怯えたように私にくっついてきました。
「ミイの首が、足にぶつかるの。歩いてて、なにか蹴ったなと思って下を見ると、それがミイの頭なの。見ないようにしてどんどん歩いても何度も何度も蹴る。踏んだりして、だんだんその形が変わっていくのがわかる」
「寝てるとき、暖かいものが布団に入ってくるの。ああミイだな、と思って抱きしめるんだけど、あれ、ミイって私が殺したのにって気づくでしょ。そうするといきなりそれが冷たくなって、べちょべちょした感触になる。驚いて飛び起きたら、もういないの」
彼女の話はだいたいこんな感じでした。聞いているだけで寒気がしたのを覚えています。
それで、「私はそんなこと一切なかったよ。香川さんはまだそんな風なの?」とまた聞くと、彼女は、
「腕に毛が生えてきた」
と言います。
「猫の毛なの。だんだん増えてくる。それで、ひげも生えてきた。昨日からは、耳も生えてきたの!見てよ、この耳!見てよ!」
香川さんが興奮して帽子を外したので、私は半信半疑で立ち上がって、彼女の頭を見てみました。が、猫の耳なんてもちろんどこにもありません。
無いよとと告げると彼女は怒ったように、あるはずだ、あるはずだと怒鳴るので、私は気味悪くなりました。
「それじゃあ、ひげも見せてみてよ」と湿布を剥がそうとすると、香川さんは打って変わって弱気になって、お願いそれはやめて、とめそめそしながら拒みました。
私はそこですっかり、香川さんはおかしくなってしまったんだという結論にいたって、夜も遅いからもう帰ろうと言いました。

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