Categories: 洒落怖

バーテンダーの世界

この怖い話は約 3 分で読めます。

177 3 sage 2011/07/19(火) 22:16:29.06 ID:Pu7o/YKq0
だがそれも数日経った後
あの先輩が無断欠席をぶちかましてくれおった
まさか先輩が飛んだ(バックれ)!?

もうお店はてんてこ舞いよw
シェイカーの振り方も料理も俺じゃなんにもわからん
オーナーさんも緊急で店に出てきてくれたが
余計邪魔w

とりあえず今日は店を早く閉める、そして料理や酒はバーテンダー不在のため
出来合いの完成された物を出す、という事でなんとかその場を凌いだが
先輩とは相変わらず連絡も取れないまま数日がたった・・・

急ごしらえのバーテンダーとしてカウンターに立ってた俺は
先輩の見よう見まねでお客と話し、正直クソマズイ酒を出す為
オーナーは修行セールと称しカクテルは格安で提供する羽目になった・・正直スンマセンオーナー・・・

でな、なんとか形になってきた頃、先輩の彼女が来店してきたのよ

「今は貴方がバーテンダーなのね」

「えぇ、先輩が急にいなくなってしまいましてハンチク坊主ですがカウンターに立たせてもらってます。
 彼女さんは先輩がどこへ行ったかご存知ないですか?」

「知ってるわよ、ただ、もうバーテンダーとして生きていけないわね・・」

「それはどういう意味ですか?」

「フフッ、さぁね?」

彼女はそう言うと意味ありげに左手を出してきた
その薬指には光る指輪

178 4 sage 2011/07/19(火) 22:18:27.05 ID:Pu7o/YKq0
あぁ!なるほど!

たしかに夜の世界に生きていては結婚は厳しいだろう
昼夜は逆転するし収入もはっきり言って家族を養える程あるとは思えない
足を洗いまともに生きる事を先輩なら選択するだろう
でも一言くらい声かけてほしかったなぁ・・・
なにも飛ばなくても・・・w

「おめでとうございます!そういう理由でしたか!」

「ウフフッ。有り難う」

「ではお店から一杯出させていただきます!未熟者ですがなにがいいですか」

「そうねぇ・・じゃあコレを使って最高の一杯を貰おうかしら」

ゴロン

あの時は思考が止まったね
なんせそこに出されたのは小さいビニールに包まれた指だった
血が抜かれているのか、全体が紫、というより黒ずんでいて
恐らく親指だろう・・・それも男性の・・・

179 5 sage 2011/07/19(火) 22:19:44.66 ID:Pu7o/YKq0
「聞いていたんでしょう?貴方」

「え?」

「あの時確かに貴方がいた・・聞き耳を立てていた事は知っていたのよ」

バレテルー・・・
会話を一旦途切れさせ、思考を纏めるためにタバコに火をつける

「では、それを使って最高の一杯をお作りしましょう。
  マドラーとして使うだけですが、とても優しい味になるでしょう」

・・・終わった・・
沈黙が痛い・・・

「面白いわね、貴方」
「今日来たのは釘を打つためだったけど、貴方はプロみたいだから安心したわ」

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