Categories: 洒落怖

テンポポ様

この怖い話は約 3 分で読めます。

671 本当にあった怖い名無し sage 2011/07/27(水) 17:44:50.07 ID:MtTpUC540
かなり長い話になると思います。
乱文&駄文は目をつぶってくれると嬉しいです。

俺の地元には奇妙な風習がある。

その行事の行われる山は標高こそ200m程度と低い物であるが、
一本の腐った締め縄のようなものでお山をぐるりと囲んでおり、
女は勿論、例え男であっても普段からその山に立ち入ることは許されていなかった。
それでも、時々調子に乗ってその締め縄をくぐってお山に入ろうとする子どもが現れる。
実際俺の年の離れた兄貴の友達が、その締め縄をくぐってお山に入り込んだ
らしいのだが、その事実を聞きつけて来た村長連中にお堂に連れて行かれ、
三日三晩眠る事すら許されない程の激しい暴行を受けたらしい。
それを聞かされて育った俺達は勿論お山に近づくような事は無かったし、
俺達地元の子ども達にとってお山は恐怖の対象でしかなかった。
そんな奇妙なお山であるが、数年~十数年に一度不定期に人が足を踏み入れることが
あった。お山の木々が色を変え、突き抜けるような青空とどこか冬の匂いを想わせる風
の吹き出す10月に、その年に11~12歳となる少年たちが集められ、
白装束を着せられてお山を登らされるのだ。
ただ一つ、「お山に入ったら一言も口をきくんじゃないぞ」と念を押されて。

672 本当にあった怖い名無し sage 2011/07/27(水) 17:49:10.32 ID:MtTpUC540

俺がお山に入らなければならないと聞いたのは、その奇妙な行事の行われる10日ほど前の事だった。
両親から話を聞いた段階で俺はすでに泣き出しそうになっていたが、
「村の決定だ。逃げ出すことは絶対にできない。お前にはすまないと思うが辛抱してくれ」
と頭を下げてくる両親を見ると、その願いを断ることは出来なかった。

それからの日々はあっという間だった。

一切の外出は禁止され、食事の内容がガラリと変わった。
大好きだったハンバーグや焼き鳥のような動物の肉を使った料理は食卓から消えさり、
その代わりに老人が好みそうな菜食中心の物となった。
しかも、それらのほとんどが塩のみで味付けされており、その他の調味料すら使う事を禁じられていたため、
それらの料理をもしゃもしゃ食べながら当時はケージで飼われるウサギにでもなった気分だった。
前日に至ってはそれまで三食あった食事すら禁じられ、口に含める物は水と塩だけとなった。
そんな生活のせいで俺の体はみるみる痩せてしまい、その十日間で体重が6Kgも落ちた。
当日は太陽が昇る前に(4時~5時頃?)に両親に起こされ、どこからか持ってきていた白装束を着るように言われた。
前日まともに食事をとっていなかったせいで、体力は落ちていたし、早朝に起こされた眠気もあって、
俺は始終フラフラしていた。意識が朦朧とするなか、俺の自宅に俺と同じような白装束を着た大人が何人も訪れた。
彼らは両親と話をした後、俺をワゴン車に乗せると件の山に向けて車を発車させた。

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