Categories: 洒落怖

障り

この怖い話は約 2 分で読めます。

仏間に入るとすぐに、ものすごく生臭いにおいを感じた。蛍光灯をつけるとむろん誰もいなかったが、
畳の上に、なぜか金庫に入れたはずの赤いサンゴ玉が落ちていた。それはまるで血のしずくのようにも
見えた。拾い上げて金庫にしまおうとしたが、てのひらの中でその玉がうきゅきゅっと動いたように
感じた。その朝方、娘が40度の熱を出して叫びだし、痙攣を起こして救急車を呼ぶ騒ぎになった。

父の死に続いて子供二人が入院するはめになり、妻もかなりまいってしまったようだった。長男と同じ
病院に娘をうつしてもらい、内科と整形外科での治療となったが、介護のために妻はパートをやめざるを
えなかった。その後は悪いことばかりが続いた。欠勤が続いて俺は会社に迷惑をかけ、たまに出勤した日
には大きなミスをした。・・・そして娘は父の四十九日の日に死んだ。原因不明の熱病だった。

700 か sage 2011/06/12(日) 00:55:24.45 ID:EgTf4hfa0
娘が死んだ夜、一人で自宅に戻り玄関の鍵を開けると、真っ暗な中に和服の女が上がり口に立っていた。
昔の遊女のような姿だった。女は顔をあげてこちらを見つめ「あなたのお父様にはおさえられて
おりましたが、これでどうやらのぞみを果たせました。」というようなことを言った。耳で聞いたのでは
なく、頭の中に響いてきた。そして手から何かを落として消えた。俺は呆然としていたが、明かりをつけて
見るとそれは金庫の中にあるはずのサンゴ玉で、鮮やかな赤い色だったものが色が濃くなってほとんど
どす黒いといえる色に変わっていた。

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