Categories: 洒落怖

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この怖い話は約 3 分で読めます。

学食で食事をして帰ろうと思った。大学に一人や二人変な人がいてもおかしくはないな。
あの人がその一人に間違いない。
夏なのに長袖を着ていたし、立ち止まって蜃気楼らしきものを見つめているなんて
おかし過ぎる。

347 グースカ 2011/02/21(月) 02:27:51.54 ID:VMH9WjG00
っていうかあれはなんだったんだろう。カツ丼定食350円を食べながら考察してみた。
結果分からん。あの時は怖さを感じてすぐにそれ以上の物を見てしまったけど
もしかして自分最大の心霊体験だったのではないだろうか。
そう思うとなんだか嬉しくなった。
嬉しくなる時点でかなり変態だと気付いたのはもう少し先になる。

「いいもん見たよな。」

声がしたから、がっついていたカツ丼から声の方に目を向ける。
(!!?)
人生最大の心霊現象をすぐさま忘れさせた男がおぼんを持って目の前に座った。
カツ丼定食だった。
男は僕の心境を無視して続けた。顔にも出ていたはずだが・・・

「ああいうのはたまにある。」

そういうとサブメニューの味噌汁をすすった。

348 グースカ 2011/02/21(月) 02:29:05.45 ID:VMH9WjG00
「驚いた顔してんのか。怖がってんのか、どういう顔だそれは。」
と今度はカツ丼に手を出す。男はさらに続ける。
「人の視覚っていうのは脳の後頭葉って場所で認識してる。
レンズに光が通されて、視神経を介し知覚される。
でもその情報が誤っているとしたらどうなる?見えているけど見ようとしない。
見えているけど見させてもらえない。
人は視覚されたことが全て真実だと思っている。」

この人は何を言っているんだ。
でも確かに見ている物が嘘だなんて考えたこともなかった。
鏡に映った僕は僕だし、写真に写った僕は僕だ。
しかし、それが真実なのか確かめるすべはない。というか誰も証明出来やしないんだ。
無意識に信じているからこそ、現実にあるものだと認識することが出来る。
いやいや、何を言っているんだ。僕は僕だし。それ以上でも以下でもない。

「このカツ丼は本当にこの形状をしているのか。色はこれで正しいのか?
それを断言することは出来ないだろ。あれはそれと一緒だ。」

どういうことか全然分からない。

349 グースカ 2011/02/21(月) 02:30:47.45 ID:VMH9WjG00
「黙りこくってるな。お前体験で来たんだな。
あれが見えるってことはそれなりにいいな。お前この大学に来いよ。」
蜃気楼を見ていた時と同じニヤニヤ、いやニタニタ顔で言う。

体験で来たというのは制服を着ているからバレバレだ。
残りわずかなカツ丼を平らげ、「失礼します!」と一目散に逃げ出した。

こんな大学行くわけない。危険過ぎる!
でも普通の人とは違う物の見方をしている危険人物だった。
こんな変態もいるんだと勉強させてもらった。

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