Categories: 洒落怖

最高のダチ

この怖い話は約 3 分で読めます。

533 本当にあった怖い名無し sage 2010/06/24(木) 19:08:57 ID:M1xFXU550
落ち着いた後に話をきいた。

「ファザーがね。六十億ドルくらい資産があるんだって。
 それを守る為にね、家を継げっていうんだ」

はあ?良い話じゃないって最初は思った。
プラモいくつ買えるんだろうってかんじだった。
正直何に怒ってるのかちんぷんかんぷん。
でも話をきいていくとだんだんわかってきた。

「そんな幼稚な玩具は捨てて、でかい夢を持て。
 等身大だってつくれるんだぞ、金さえあれば。
 もちろんおまえががんばって、それをつくるだけ稼いだ後ならだ
 広場に等身大のロボットを建ててみたらどうだ
 おまえの好きな犬面のロボットだって金があれば建つ」

みたいなことを言われたらしい。
ところがFNにとってはこれが究極の鬼門だったわけだ。
俺も正直腹が立った。何?それじゃ俺たちの愉しんだものが全部ゴミだっつの?
バイトして買った大事な戦利品なんだよ。ゴミなわけないだろ。
FNにとっても、そうだったみたいだ。だから共感できたよ。悔しかった。
他人残した金で何万個買ったって、絶対積むわ。
FNはおちついたあと、壊れたコレクションを見てさめざめとないた。
俺はもう大丈夫だろうと思った。

534 本当にあった怖い名無し sage 2010/06/24(木) 19:10:15 ID:M1xFXU550
「いままでの交遊関係は清算しろ。
 ノブには特に一杯お金をあげて、説得するから安心しなさい。
 今後は、金になる付き合い方をおぼえなさい。
 これから大人の社交を教えてやる」

これはご両親から直接きいた、自殺前に彼らが言った言葉の要約。
二人は俺がFNに悪い影響を与えてると思ったらしい。
それがきっかけで口論したあと、部屋にFNが引きこもって。
夕食時に呼びにいったらもう死んでいたそうだ。
FNの遺書にはこうあった。

「ノブ。一番大切なおまえに。
 二番目からの大切なものを全て譲る」

535 本当にあった怖い名無し sage 2010/06/24(木) 19:10:56 ID:M1xFXU550
ご両親には最初めっちゃ恨まれた。
俺みたいなヲタ友がいたから、いけなかったんだって。
でも、数年して、ばったり墓参りで出くわしたら、家に呼ばれてな。
アルバムを見せてもらったよ。
懐かしいFNの顔がそこにあった。
ワンフェスで有名原型師のYさんの横に立ってる写真とかさ。
プロのモデラーの人に気に入られて、その自宅兼仕事場に御邪魔したとき。
作業風景を取らせて貰った写真とかさ。大事に大事に飾られてんの。
ご両親と一緒の写真もちょっとあったんだけど、そっちではぜんぜん笑ってない。

「最近、やっとアルバムを見て気付いたヨ。
 わたし、長く嘘いった。Fは気付いていたんだな。
 家の中に嘘つきばかり、きっとつらかった。
 だから、外に、大切なもの探しにいった。
 それを奪おうとした。馬鹿だった」
 わたしたち、Fを殺したんだね」

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