Categories: 洒落怖

夢と破滅

この怖い話は約 3 分で読めます。

史実系で霊はでません。あしからず。

あるところに一人の大富豪がいた。
大富豪は開拓という夢をもっていた。
丁度その頃海を隔てた向こうに安い土地があった。
大富豪はそこに移住した。
平山地(平地に山が一つか二つポツネンとあるような土地)に目をつけた。
山はそれなりにおおぶりで小川。
その開拓先の国というのは首都がスラムだらけのところだったけど。
そこは広々とした平原に田畑が広がり。
住民は木製の小屋を立てて、質素ながらも生産的な暮らしていた。
大富豪はその村の人全員を集めてこういった。
「税金でもっていかれる部分以外の穀物を私に独占的に商わせてほしい。
 そのかわりに、私はこの近くに鉄道を誘致しよう」

846 本当にあった怖い名無し sage 2010/05/18(火) 19:15:27 ID:oJZHFBsh0
住民達は嘘ばかりつく国をみてきていたから
「駅ができたらその話にのろう」といってきた。
大富豪は計画が難航していた鉄道の建設に無償融資(隣の駅からこの場所~そして次の駅まで線路を引く全額)を行った。
国は約束をまもり一部路線をじゃっかんずらしてくれて、駅が出来た。
住民達は大喜びで大富豪の会社に穀物の独占販売権を与えた。
次に大富豪は住民達の同意のもと村もろともその周囲の広大な土地を買った。
住民達は彼ならばやってくれると期待していた。
近隣の山六つを中心に360度、地平線の彼方までが彼の土地となった。
次に彼は買った土地を買った値段より安く売り始めるようになった。
彼が買う前、そこは国有地で、住民達は不法労働という咎をとがめられない代わりに重税を敷かれていた。
住民達は穀物を打った金で自分たちの土地を手に入れ、重税はなくなった。
住民達は彼をたたえ、村で唯一の金物師に錫と銅をわたし、彼の銅像をつくらせた。
大富豪はそれを一瞬たりと直視できなかったという。
チラっとみて真っ赤になって、以後その銅像のある場所にはよりつかなくなったそうだ。

847 本当にあった怖い名無し sage 2010/05/18(火) 19:16:48 ID:oJZHFBsh0
しばらくして、大富豪は豪は人口密集地にばかり立つ学校に疑問をかんじていた。
その国の人口密集地とは、その国を食い物にしてきていた、王朝関係者の影響力がつよいところばかりだった。
土地の多くも彼らのものなら、その土地の上に住まう人たちは、彼らから稼ぎをピンはねされ、とても学校にいくゆとりはなかった。
つまり、彼らの影響下から脱することこそが、勉強をするより前に必要だとおもっていた。
肥沃な土地ならまだまだある。ならばあとは学校があればいい。
その国の言葉と日本語の双方を話せる教師を探した。
算数、理科、英語まで教えられる人が大富豪の名望に夢を抱いてやってきた。
そのほかにもその国の言葉はできないけれど、音楽や美術などなら教えられ、熱意もあるという人も雇った。
大富豪はその村の人口がまるごと収容できるような学校を建てた。
しかし彼は宣伝を一切しなかった。
彼は頭のいい人ほど、忙しくとも、情報に耳をそばだてることはやめないと思っていた。
はたして彼の思惑は成功し、ちらほらと小作人希望者がやってきた。
大富豪は彼らを迎え入れた。多くの小作人達の収入は十年後には以前の倍となった。
また彼らのつれてきた子供達は勉学をまなんだ。

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