Categories: 洒落怖

夢と破滅

この怖い話は約 3 分で読めます。

この頃から少しづつこわれてきた。
度々、村の住民でない、裕福なその国の人たちがやってくるようになった。
彼らはぼうっきれを武器にして学校に討ち入るなどをしはじめた。
かれらはその国に昔あった王朝の関係者達だ。
彼らのもとから逃げ出した小作人達が幸せそうにくらし。
その子供達が学問を学んでいるのが恐ろしかったのだ。
将来、自分たちの権益をおびやかすとかんがえていたのである。
この人たちは大富豪の母国のことを悪くいうようになっていった。
電車の駅があることが災いした。
穀物庫に火をつけられるのはきまって列車の発車時刻より少し前。
人口の少ない村は官憲も少なく。暴徒相手には無力だった。
この暴徒は後に独立運動家とよばれたたえられる人たちである。
大富豪は三つ目の穀物庫がやかれたとき延焼をくいとめるための打ちこわしに参加し。
たおれてきた木材の下敷きになって死んだ。

848 本当にあった怖い名無し sage 2010/05/18(火) 19:20:57 ID:oJZHFBsh0
大富豪には息子がいた。
大富豪の息子は村の学校を出たあとに高等学校にいってきたが。
かえってきたのは十三歳というわかさでのはなしだった。
卒業こそしていないが高等学校からは「彼に教えられることばかりだった」という添え状があったそうだ。
その彼は頭はいいが、大変かわりもので活用する気力がかけていた。
当年20歳になるまで七年間、各地を歩き回って写生を行う芸術家を志す人でもあった。
彼は大富豪の残したノートから大富豪が抱いていた夢を理解し、それをひきついだ。
悲嘆にくれる村人達は日本式の神社を模した小さな社をつくってくれていた。
そこに集っていた村人達のもとへと出向き、こういった。
「あなたがたは父を実の父と同様にあつかってくれた」
すると小作人や村人達はこう言い返した。
「いいえ、ここにおわすのはかみさまです」
「いいや。君達は私の魂の兄弟だ。君達の魂は父の子だ。
 父が残した遺産のうち独占販売権をみなさんにあげよう。
 そしてあらためて言いたい。私にそれを売ってくれ。」
学問を学んだ村人達のうち何人かはこの青年がなにかをする気だとさとった。
「では私はそのおかねをあなたに捧げます。」
結局もとの木阿弥であったが。青年は混乱する村の収拾をみごとにやりとげた。

849 本当にあった怖い名無し sage 2010/05/18(火) 19:23:08 ID:oJZHFBsh0
青年は村人が集まる集会をひらいていった。
「君達は父をかみさまだといってくれた。
 今度は君達がかみさまになる番だ。
 私はこれからこの国の貧しいところで苦しんでいる者のうち
 君達と同様に才能のある人たちをあつめてこようとおもう。
 最初のうち彼らは君達の手助けなしではやっていけないだろう。
 しかし、私も手を貸す。一緒にやってくれ」
物議をかもしたものの、村人達は納得した。
そして何名かの村人が選抜された。
青年は手に職があり、なおかつ、貧しいもののうち
特にこどものいる家族をつれてくるように言った。
村人達には旅賃があずけられ、彼らは方々に旅立っていった。

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