Categories: 洒落怖

事の最中に

この怖い話は約 3 分で読めます。

瞬間、周りの音が何にも聞こえないことに気付いたわけ。
いや、彼女の「やぁ…」って喘ぎ声とかは聞こえるんだけど、
なんていうんだろ、空調の音とか、外の音とか、なんか高性能のノイズキャンセリングヘッドフォンをつけたような、無音が聞こえるっつーか、まあそういう感じ。
でも、ちゃんと注意して聞けば相変わらずベッドが軋む「ドンッ、ドンッ」って音も聞こえるし、
ただの耳鳴りか、と思って彼女の足の方をみたら、
知らない人が一人、ベッドの脇のテーブルの所に立ってたの。
よく見ると、女。後ろ姿だけだけど、まああれは女だったって分かる。で、その女が頭を壁に打ち付けてんの、「ドンッドンッ」って。
やべえっ、と思って、喘いでる子に教えようと思ってハッとその子をみたら、
「嫌、嫌、嫌、嫌、嫌」って絞り出すような声で言いながら、目を見開いて固まってるのよ。
おい大丈夫か、とは思ったけど、俺は俺で、声を出したら、頭を打ち付けてる女がこっちを見るんじゃないか、と思ったから、
出来るだけ静かに布団の中にもぐって震えてたの。

ごめんはみ出るから三つに

463 3/3 2010/03/17(水) 04:45:32 ID:jeIYqCwx0
「ドンッドンッドンッドンッ」って相変わらず音は聞こえるし、本当恐くて恐くてどうしようもなかった。
しばらくそうしてたら、「ドンッ……」と音が止まったの。
でも相変わらず「嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌」っつー声は聞こえるし、身動きが取れないままいたんだけど、
「嫌、嫌、嫌」っていう声が、彼女の声と、もう一つ凄く低い声で聞こえ始めたんだ。
凄く低い、というより、スローモーションになった時の人の声に似てる。
んで、リズムは一緒なんだけど、低い方の声が、どう聞いても段々と近づいてきてるのよ。
「嫌、嫌、嫌、嫌、嫌」「嫌、嫌、嫌、嫌、嫌」って。
声がついにベッドの真横あたりまで来てんのが分かって、俺は「来るな来るな来るな来るな」ってずっと心の中で念じてたんだけど、
そしたら「嫌、嫌」って声が急に止んだの。なんだ、と思ってジッとしてたんだけど、
2秒くらい間があって、さっきよりもずっとずっと近い声で
「嫌」
って聞こえたんだ。

その直後から、空調の音だとか、外の音だとかが急に聞こえ始めて、
なんとなくだけど、あぁ、終わったんだ、って思ったの。
そしたら緊張が解けて、指がつってた痛みがすげー走って、汗ダラダラなまま足をマッサージして、
すぐに女の子を起こして、「出よう」っつってラブホを出て、挨拶もせずに駅で解散して速攻帰ったんだ。
帰ってすぐに思ったんだけど、多分、最後の「嫌」っていうのは、俺じゃなくて、彼女の耳元で言ったんだと思う。
ホテルの持ち物なのか、それとも彼女の持ち物なのか、知識のない俺にはわからないけど、今のところは俺は何にも問題なく生活出来てる。

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