Categories: 洒落怖

手で顔を被う女

この怖い話は約 3 分で読めます。

大きめのビニール傘で、番号は1~10番まであります。
お客さんに貸す際に、誰にいつ貸したかを控えておくために番号がついています。
私は店長に了解を得て、7番の傘を借りて店をでました。

653 本当にあった怖い名無し sage 2012/02/05(日) 22:54:39.51 ID:ZoSHRplE0
当然ですが、辺りは真っ暗でした。
さらに大雨ということもあり、寒かった記憶があります。

公園へと続く細い道へと入りました。
電灯が無いため細い道に入るとすぐに、それまでよりもさらに暗くなります。

こんな日だし遠回りでも車通りのある道で帰れば良かったと思いましたが、
いつもの癖で公園まで来てしまいました。
ここまで来てしまったら、さすがに引き返すのは面倒なので、そのまま帰ろうと足を進めたのを覚えて

います。

公園内は階段で分けられていますので、ここでは仮に階段を上る前にある広場を1階とします。
1階には遊具の他にトイレと電灯とベンチがあります。

トイレにも電気があるため、入り口の細い道よりは少し明るく感じますが、
それでも夜は暗く寂しい場所となっています。

普段から歩き慣れていますが、人とすれ違ったことは数えるほどしかありません。
さらには雨ですので、人がいるなんて全く考えていませんでした。
でも、赤い服を着た女性がベンチに座っていました。

656 本当にあった怖い名無し sage 2012/02/05(日) 23:01:15.55 ID:ZoSHRplE0
女性はベンチに座り、自分の膝に肘をついて顔を手で被っていました。
傘を持っていないのか、ずぶ濡れでした。

一瞬驚きましたが、このまま見て見ぬ振りをすることができず、
「どうしましたか?」と声をかけました。
返事はありません。

私はバイト先の傘をベンチに立てかけて言いました。
「もう1本傘を持ってますので、これを使ってください。」
返事はありません。

少し不気味でした。
傘を残しその場から離れ、家を目指しました。

公園内の階段を上る途中で、やはりあの女性が心配になり、
警察に連絡しようとしましたが、携帯がありません。
バイト先で充電をしたまま忘れてきてしまったようです。

最悪でした。
でも携帯電話は必要でした。
その日は確か木曜日で、月・火・水・木というバイトスケジュールだったので、
どうしても取りに行きたかったのです。

バイト先へ戻る為に、来た道を引き返します。

657 本当にあった怖い名無し sage 2012/02/05(日) 23:02:39.82 ID:ZoSHRplE0
傘を貸してからほんの2,3分しか経っていませんでしたが、ベンチに女性はいませんでした。
その後小走りで公園の駅側の出入口まで行きましたが、女性は見当たらず。
公園内にはトイレがあるため、そこに行ったのかと思い深くは考えませんでした。

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