Categories: 洒落怖

夜の女

この怖い話は約 3 分で読めます。

貧乏な俺のワンルームには風呂もトイレもクーラーもかったが、夏の夜は涼しくて、それほど苦ではなかった。

壁は薄く、となりの音はまる聞こえ、オナニーするのも、エロビデオを見るのも声と音を気にしていた事は苦くも今となっては微笑ましい思い出。

さて、そんな我が家の左隣は30後半の女。生活保護で暮らしてはいたが、見ようによっては美人の部類。でも、頭は緩そうな雰囲気の人だった。趣味はうがいかと聞きたくなるくらいに、いつもうがいをしていた。

右隣の住民はガテン系な50すぎの男。共同のキッチンの水で堂々と全裸になり業水するような非常識な人だったけれども、なんとなく憎めない雰囲気をもっていた。

全部で10戸の長屋。ワケありから生活保護者、貧乏学生、ただの貧乏人と、人生の負け組が大集合したようなアパートだったが、それなりに居心地のよい空間だった。

この長屋の隠された得点…住民だけが知っている秘密…いや…住民の一人を除いて勘違いをしていたアレを知るまでは…

502 本当にあった怖い名無し sage New! 2010/01/21(木) 20:12:00 ID:9ThEQCTbi
俺にアレが初めてやってきたのは…住み始めて2年目の契約更新の次の日の夜。

どうせ貧乏人、取られるものもない俺の部屋には鍵がない。入ろうと思えば誰でも入ることができるけれども、入ったところで何もない。寝るときだって開け放して寝ている。

寝ている俺の部屋に誰かが入ってきた。ちなみに、隣のおっさんは酔っ払ってドタバタと入ってくることがたまにある。その夜はやけに静かだ。

気がつけば耳元で、しーっ声を出さないでと女の声。髪は長くいい香りがする。隣のうがい女かなと起きようとすると、手で制されて、起き上がれない。

あれよという間に、女は手で俺のイチモツをまさぐり始めた。不覚にも、ものの数秒で逝ってしまった。抗議しようと口を開けば、人差し指で制止…そこから…長い髪が首筋から胸元へ、腹から…。

今だから告白するが、あの時、俺は童貞で、風俗にすら行ったことのない純な成年だった。この刺激の強いイタズラに酔いしれ…気がつけば眠りに落ち朝を迎えていた。

505 本当にあった怖い名無し sage New! 2010/01/21(木) 20:22:39 ID:mkoDV+XCi
俺はこの出来事を話さずにはいられず、次の日に隣のおっさんに話してみた。おっさんはニヤリとイヤラシイ顔で、ついにお前のところにも来たかと一言。この長屋の男9人は、これですべて夜の女のお世話になったことになるらしい。

月に1回、その夜の女は現れる。そうこうしているうちに1年が過ぎた。

あいかわらず、隣の女はうがいをしている。

俺は彼女こそが夜の女…俺だけじゃない、みんな、そう思っていた。ただ、不思議なのは、いたって俺達に接する彼女の態度が普通であったこと。まぁ、俺達も必要以上に絡むこともなかったのだが…ね。

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