Categories: 洒落怖

そのもの

この怖い話は約 2 分で読めます。

そのものに出会ったのは、私が幼稚園に通っていたころ、
ピクニックで行った公園で。先生らと園児だけのピクニックであった。
 昼食を終え、トイレに行ったら、そのものが出てきた。

 そのものを見たときに、わけがわからなかった。
この場に居ない、来ていない、母親だった。だけど、母親とは何かが違う。
 恐る恐る、もう一度、そのものを見てあぜんとした。
なぜ、私はこの顔が黒いものを母親と思ったのだろうか。
 そのものは、私に静かに手を差し伸べてきた。私は怖くなって逃げた。

 それから5年後。そういった出来事を忘れていたころ、再び、そのものはあらわれた。
宿泊訓練施設、林間学校で。あの当時のままのかっこうで。
 以後、中学、高校の修学旅行先でもあらわれ、高校のころは定期的にあらわれた。
不思議なことに、成人してからあらわれなくなったが。

 別に、家庭環境は悪くないし、父母も不仲というわけでもない。
母親もいたって健康であり存命中であるし、人から恨まれるような性格でもない。
 
 今になって思えば、神隠しの類だったのかと。

bronco

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bronco

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