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このあたりから眠れなくなった。怒りのあまりに。
彼女は数週間に1度自分をランダムな写真にタグ付け始めた。それに気づいた友達はバグかなにかだと言った。後で知ったことだけど気づいて何も言わなかった人もいる。中には俺をフレンドから外した奴も。この時点でなんで自分のFacebookページを削除しなかったのかと思うかもしれない。正直そうしておけば良かったと思ってる。でも外出できない日なんかに友達とチャットできるのは楽しかった。彼女が生きているときからあまり外交的ではなかったから、彼女の死でより一層内向きになったんだ。俺にとってはFacebookとMMOが唯一の社交の場だったんだ。
なんでこんなことをする?
なんで彼女をタグし続けるんだ?
エミリーのページをハックしてるであろう人物にメッセージを送った。
エミリー「ハロー」
エミリー「ハロー、ハロー」
エミリー「ハロー」
ネイサン「もうやめてくれ。こんなことして何が楽しい?」
エミリー「シナモンの匂いのキャンドルだって」
ネイサン「地獄に落ちろ」
エミリー「なんでこんなことをする?」
ログをみて気づいたけど彼女は俺のメッセージもコピーしていた。俺は相手の思うつぼにハマって、このゲームに参加させられていたんだ。こういうことをする人間は他人の苦痛を楽しむタイプだろう。俺はテクノロジー系の掲示板に書き込んでこの人物を特定する方法がないかを聞いて回った。証拠を集めるためにも泳がしておく必要があったんだ。
ちなみに誰かに聞かれる前に答えるけど、パスワードとセキュリティーに関する質問は何回も変更してる。
エミリー「自分たちのジャムを作ろうよ」
エミリー「なんてことサマンサ」
エミリー「ううん、違う」
エミリー「パスするチャンスは無いわね、パスするチャンスは無いわね」
エミリー「いくつ?」
エミリー「ガレージのサイドドア」
エミリー「パスするチャンスは無いね」
ランダムな言葉の羅列。今までと同じく過去の会話から文章を切り貼りしている。
エミリー「ベイクドビーンズをトーストに」
エミリー「知らない、ただ”ネイサンに聞いたら”って」
エミリー「ネイサン」
エミリー「ネイサン」
エミリー「ネイサン」
ネイサン「何が起こってるのかわからない」
ネイサン「なぜまだこんなことが出来るのかも」
ネイサン「お願いだやめてくれ」
エミリー「何が起こってるのかわからない」
エミリー「ネイサン」
エミリー「何が起こってるのかわからない」
手がかりは何も得られなかった。Facebookは彼女のページがアクセスされた場所を教えてくれたが、それはどこも俺がアクセスした場所だった(家、仕事場、彼女の実家)。”ネイサンに聞いたら”って言うのはしょうもない内輪ネタなんだけど、彼女が実際にまた口にしたかと思うと俺は立ち直れないほどの衝撃を受けた。俺のリアクションはとてもじゃないけど綺麗なものではなかった。