この怖い話は約 3 分で読めます。

238 夢 2007/07/15(日) 14:52:48 ID:VkpKYIIu0

 遠くに暖かな、しかし現実味のない光の帯がぼんやりと浮かび、手前には柵がぐるりと伸びている。
この柵の中に入るには少し迂回しなくてはならない。
その迂回の過程であの母親の家の前を通るはずなのだが、何故か気がついたときには祭りの喧騒の中にいた。

 道自体が光っているかのように明るい通り。暗闇の中にそこだけが浮かび上がり、星も見えない。
行き交う人々はまばらであったが、皆浴衣を着て楽しそうな様子だった。
 私の傍には友人が3人。少し離れて青い浴衣のおじさんが一人。
私は取り留めの無い話をしながらのんびりと下駄の感触を楽しんでいた。
 と、友人の一人が何かを指差した。
「あれは?なんだろう…」

 ガラス張りの小さな店。ショーウィンドウと思しき空間にはさらに小さなガラスの箱に入った人形が全部で5体、こちらに背を向けて並んでいる。
 お客を呼ぶためなら、こちらに顔を向けておくべきだと思うが…
「あの人形は、顔が潰れているんだ」
 おじさんはこともなげに言った。皆は納得したように息を吐いて、その人形に見入っている。
 私はただじっとおじさんを見ていた。背が高くて顔がよく見えない。私は唐突に気づいた。

239 夢 2007/07/15(日) 14:53:37 ID:VkpKYIIu0

―あなたは…
「○○(男の子の名前)が、身体を倒したせいで私は顔を潰してしまったんだ」
 脳裏に奇妙な映像が浮かぶ。疾走する自転車。私の視点は多分右ハンドルの上あたり。
後ろの荷台から子供が身を乗り出して…
 はっと見上げると、おじさんは奇妙な面をかぶっていた。
 夜店で売ってなどいない、能の面とロボットを足したような形。歩き出すのにつられて、私も歩を進めた。
友人たちはついてこない。
「祖父は顔を戻してもらう代わりに―――た。だからあんなことに……」
 白黒写真が視界に浮かぶ。快活そうなお爺さんが面を外して…
 遠くから祭りの灯が消えていく。軒を連ねていた店は既に一つも無い。平坦な山道。傾斜のついた芝生。
隣には奇妙な面の男。それも徐々に黒く塗りつぶされて―――

私は目を覚ました。

ここで終わりです。長文失礼。
次に寝たら、続きが見られるのだろうか…

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