この怖い話は約 3 分で読めます。

255 呪われてる3 ◆lh3REEGwNw 2009/12/28(月) 14:18:11 ID:3/eWtlpR0

その夜、家のみんなはなぜか暗かった。とくに祖母はなにかブツブツ呟いていた。お経? だったかもしれない。
もしかしたらバレたか? と動揺したがべつになにも言ってこなかった。
飯を食い終え、電話が着た。俺はいまだ山での恐怖を忘れられず、母から離れなかった。
電話の内容も聞こえた。そこで唖然としたんだ。電話をかけてきたのは俺が山へ一緒に行った友達の母親からだった。
○○が家に帰ってきていない、そちらにいないか、とのこと。もうなにがなんだか判らなかった。
俺が恐怖で山を走り降りているとき、手を握っていた友達はいなかったんだ。つまりどういうことか。
友達は山で神隠しにあった。それも俺のすぐ近くで。

俺はなにも言えなかった。母が知らないかと聞いてきても知らないの返答。とんでもない嘘吐きだった、俺は。
電話は終わった。友達の母は泣いていたそうだ。罪悪感が俺を包んだ。
居間へ戻るとばあちゃんが俺を睨んできた。そして開口一番に、

「山へ行ったのか」

だった。
俺はなぜか頷いてしまった。そうせざるを得ない気がしたんだ。
すると、ばあちゃんは老体と思えない素早さで俺に飛びついてきた。

「どうして入った! あそこは呪われている! お前は憑かれた。じき取りにくるぞ!」

そうばあちゃんが言った。取りにくるとは……あの猿のことなのだろうか。俺の恐怖心はマックスだった。

「お前の友達も行ったんだろう、その友達はお前の身代わりになった」

そこで俺は気を失った。
友達が身代わりになったと聞いて、目の前が暗くなった。

257 呪われてる4 ◆lh3REEGwNw 2009/12/28(月) 14:27:40 ID:3/eWtlpR0

それから今へ戻る。俺にはなんの異変も起きなかったのが幸いである。友達には謝って誤りきれないほどだ。
呪われている山。その山と村にはひとつ、関係があった。
住んでいた村は、昔、人食いの村だったそうだ。今となってはそんなものは迷信に近いが、はっきり言うと呪われているのは村の人々のほうだった。つまり俺も。
人食い人種の汚れた血を今なお濃く引き継ぐ、この村は、神聖な神社にとって嫌われている。
どういうことか、ばあちゃんに聞いたところ、山の神社の護りが強すぎるそうだ。あんな廃れているようでも効力は健在らしい。
つまり、呪われている人々があんなところへ近付けば、良くないことが起きるのは当たり前。
だから旅行客に異変はなかった。友達は俺の代わりとなり、俺には異変が起きなかった。
結末はこうだった。最初から山など呪われていなかった。あの猿のようなものは山神かなにかかもしれない。
俺は正月やお盆でも村に戻ろうとは思わない。多分、次に行ったら本当に死ぬかもしれないから。

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bronco

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