この怖い話は約 3 分で読めます。

おかしいと思ったが、何度確認してもやはり履歴に残ってなかった。
「おかしい。履歴にない。表示は確かにTだったのに」と言うと、
A美は「え?どういうこと?T君じゃなかったの?なんだったの?」
と怯えた声で聞いてきた。でも説明ができない。
とにかくもう一度連絡し直そうと、発信履歴の方からTに電話した。
すると今度はちゃんと呼び出し音がした。
それには少し安心したが、ただ呼び出し音が鳴るだけで誰も出ない。
何度も繰り返し電話したが、ひたすら呼び出し音が鳴るだけ。
A美もY子やR子に電話してくれたが、これもまた同じだった。
2人の不安はもう限界になって、110番をしようと決めたまさにその時だった。

503 本当にあった怖い名無し sage 2011/02/05(土) 02:58:29 ID:Y+67HZg+0
アパートの部屋の前にTのワゴン車がものすごい勢いで止まったのがわかった。
ああ、帰ってきたかと一瞬ほっとしたが、様子がおかしかった。
車をアパートの駐車場に入れる事もなく、エンジンもライトも点けたまま、
ドアが開いてバタバタと慌しく降りて来る音がしたのだ。
ん?と思ってると、「ドンドン!」と部屋のドアをもの凄い力で叩く音と、
「おい!開けろ!開けてくれ!」というTの悲鳴みたいな叫び声がした。
なんだ?と思いながら急いでドアを開けると、
MとTが「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ~!」とか声にならない叫び声を上げて
靴も脱がずに部屋に飛び込んできた。
「おい・・・」と俺が言うのも聞かず、Mは部屋の奥に行って、
「あ~!あ~!あ~!あ~!」と頭を抱えてうつ伏せになり泣き叫んでた。
さっきも言ったように、Mも空手の黒帯で体もでかくてゴツい。
なのにそんな体を丸めて、悲鳴のような声をひたすらあげる。

Tの方はトイレに行ってげえげえとゲロを吐き、さらに
「ちくしょう!なんだよ!ふざけんなよ!」と意味不明なことを大声で言っている。
何がなんだかわからず、俺がドア付近に呆然と立っていると、
R子が全身が脱力したようにフラフラしながら部屋に入って来た。
A美はTとMの尋常じゃない様子に手を口に当て、ただ泣き顔になってたが、
そんなR子を見ると我にかえったのか、「R子!」とR子に飛びついた、
そして、「ねえ!どうしたの?何があったの?」と半ばパニックになりながら、
R子にしがみついて聞いた。
が、R子の顔を見て俺も、A美もハッとした。

504 本当にあった怖い名無し sage 2011/02/05(土) 03:00:21 ID:Y+67HZg+0
目がうつろで見るべきでない方向を見てた。
表情にもまったく抑揚がなくて、放心状態だった。
R子はゆっくりと台所の真ん中あたりまで行くと、壁にすがり、
そのままズルズルと床にへたり込んだ。
A美も俺も恐怖で体が固まり、動けなかった。
が、そこでY子がいないことに(ようやく)気が付き、青くなった
「おい!Y子は?どこいる?」と大声で言ったが、
誰も答えられるような状態じゃなかった。

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bronco

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