この怖い話は約 3 分で読めます。

423 オツキサン sage 2011/08/06(土) 10:47:54.17 ID:MFEMaJmK0
山の道は大人一人が歩ける程度で、小学生の俺たちからしたら、進むのに全然問題は無い広さだった。
← 俺 A B
という隊形で道を進んでいく。
ふと、道の横の木を見るとクワガタを発見!
子供にとってクワガタはカッコよさの象徴、夏休みの主役たる絶対的な存在であることは間違いない。

しかしあいにく、俺たちが持ってきているのは空のプールセットのみ(1名中身有り)だったので、
バッグにクワガタを入れるのも可哀そうな気がして、「明日は虫カゴ持ってくっが」と話しながら奥に進んで行った。
なぜか進むにつれて、Bがときどき変な声を出していたし、Aを急かしていたが、
Bはビビリなので、俺たちは、いつものことと大して気にせずに、頂上を目指して歩を進めていた。

山に入るときに小さく見えていた入道雲が、山に近づいてきたころだったか、俺たちは道が下り始めたことに気付いた。
このまま進めば、例の神主さんの神社に出る。
大したものも無かったな、と思い、二人に、もと来た道を戻ろうかと声を掛けた。
Aはそれに同意したが、何故かBは「進む」と言い始めた。
このまま進んだら、ほぼ確実に誰かに見つかるし、見つかったら大人から滅茶苦茶に怒られるのは確実なので、俺とAは大反対した。
それでもBは「進む」と言葉を曲げず、そのうち震え始めた。

425 オツキサン sage 2011/08/06(土) 10:49:54.25 ID:MFEMaJmK0
不審に思ったAが理由を聞くと、Bは「視線を感じる」「音がする」と言う。
話をまとめると、誰かついてきてるとのこと。
俺やAはまったく気が付かなかったけど、Bは自分の後ろの方に誰かいると思ったそうだ。
そして、もと来た道を帰るとなると、その「誰か」に向かって進まなければならない。それは怖いとのこと。

俺たちはそれに全く気付かず、気のせいだろうと説得したけどBがどうしても怖がるので、俺が先頭に立って、もと来た道を戻ろうとした。
第一、大人なら大声をあげながら捕まえに来るだろう。
もう、道は神主さんの住む神社へと下り始めているから、引き返して頂上に着くまではまた登りだ。

引き返そうとすると、少し先の道に影が見えた。
まずい!大人たちに見つかった!と思って身構えたが、様子が違う。
ゆっくり近づいてくるのは分かるが、少しずつ距離が近くなり、良く見ると人では無い。
黒い影が、しかも1つではなく3つも、こっちに近づいてくる!
影が何か喋っているが、離れているので聞き取れない。

俺は完璧に固まってしまった。
AとBは少しして、人では無いことに気づき、叫び声を上げて逃げだすまで俺はフリーズしていたが、
2人が逃げ出すのにつられて、道を駆け下り始めた。

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