Categories: 洒落怖

心の病

この怖い話は約 3 分で読めます。

643 part3 of 4 sage New! 2012/06/21(木) 15:27:46.18 ID:J4aB7EU70
ある日の食卓K子が俺をなじった。
「あなたの親が払ってるお金じゃパソコンなんてそう何度も買い換えられないのよ!
おばさんがどれだけ自分の稼ぎに食い込ませて育ててくれてると思ってるの!」
「いいのよ。大事な事が知れたから、それで十分。
K子ちゃん、この子に傷つけられたことある?」
「ないですけど」
「それはね。酷いことをされすぎて痛みを知りすぎてるから、人を傷つけたくないのよ。
K子ちゃん最近とめてくれてるわね。
でもね。この子の力なら、K子ちゃんを怪我させるなんてなんてことないのよ」

俺がとうとうパソコンを窓から投げ捨てて壊したら、翌日には新しいのが届いた。
「ママ」
恥ずかしいが俺の発した言葉だ。
悲しい哉。自分がかけた迷惑を迷惑とも思わない素振りを確認する以外に人を見分ける術が無かった。
やっと良い人なんだと理解できたんだと思う。ママといわれたおばさんは照れていた。
9歳くらいまでは幸せな家庭だったんだよな。

それから俺は徹底的に勉強をはじめた。
自己流だが兎に角勉強をした。世界中のゲームと呼ばれるものをとにかくやった。
そうして、業界の新製品やどれが売れそうかといった情報を自己流なりに分析できるようになった。
おばさんは就職活動がうまくいかない俺を何度も慰めてくれた。
K子は先にアルバイトを決めて働きはじめ、ちょっと悔しい思いもした。
俺は面接のたびにこのゲームは売れるだろうというかんじの海外の作品についての論文を提出した。
そしてその予測がピタリと当たったとして、今の会社に採用された。
ゲーム会社のプロデューサーのアシスタントのアルバイト。
今年から正社員に起用されてる。

33歳で社会復帰、34歳で正社員。すごく順調な滑り出しだ。
俺には今は義弟が二人いる。二人共引篭もりだが、俺と同じでPTSDを患ってる。
俺の給料の多くは彼らが破壊するものを購入するために使われ、自由になる金は月5000円もない。
だが、赤の他人のために、すごく優しくなれる人を俺は知っている。

644 part4 of 4 sage New! 2012/06/21(木) 15:33:18.56 ID:J4aB7EU70
今の俺は言語が読めないからといって、ゲームをやらないということをしない。
体験版が出れば、とにかくやってみる。出来るようになるまでやる。
そうして、ローカライズの価値があるかは勿論の事、
やったタイトルが何本売れて、どういうところが評価され、どういうところがダメなのかもまとめていき。
こうして俺が纏めたデータが、会社が自社タイトルの海外に出すときの参考資料とされている。
相変わらず、俺はあまり家から出ないが、そのおかげで義母は俺とK子に義弟達を任せて仕事に出ていける。

Page: 1 2 3

bronco

Share
Published by
bronco
Tags: 虐待障害

Recent Posts

迷い

霊とかとは全然関係ない話なんだ…

6年 ago

血雪

全国的にずいぶん雪がふったね。…

6年 ago

母親の影

私が小6の時の夏休み、薄暗い明…

6年 ago

閉じ込められる

彼はエレベーターの管理、修理を…

6年 ago

彼女からの電話

もう4年くらい経つのかな・・・…

6年 ago

テープレコーダー

ある男が一人で登山に出かけたま…

6年 ago