Categories: 洒落怖

虚ろな顔

この怖い話は約 3 分で読めます。

ここって本に載ってた話でもいいのかな?
昔図書館で借りた、心霊体験談を集めたような本だった。

語り手Aの体験談。割と脳内補完している。
高校の頃のクラスメイトにBという男がいた。
2人は割と仲が良くて、帰る方向も同じだったのでよく一緒に帰っていた。
2人ともオカルト好きで怪談話もよく知っており、帰り道は怖い話大会になることが多かった。
その日も一緒に帰っていたんだが、Bは途中で催したらしく、通りがかった公園内のトイレへ駆け込み、残されたAはトイレの前で待っていた。
しばらくすると、Bは血相を変えて出てきた。
「あいつはどこ行ったんや?」
あいつって誰だ、と聞くと中学生くらいの男が出ていったはずだという。
Aはトイレの前でずっと待っていたのだが、そんな男はもちろん見ていない。
Bの話はこうだった。

小便器で用を足していると、「トントン」と個室のドアをノックする音が聞こえた。
振り返っても、個室の前には誰もいない。あぁ、紙がないから内側から叩いてるんだ。
そう思ったBは、用を足した後に閉まっている個室のドアをノックしてみた。
しかし反応はない。試しに取っ手に手をかけてみたら、鍵はかかっておらず、ドアを開けると中には誰もいなかった。
おかしいな、と思いトイレを出ようとすると、入口の端から左半分だけ顔を出した、学生帽を被った中学生風の男がじっとBを見ていたという。
えっ、と思った瞬間顔はそのまま右横に滑るように消えていった。
あいつはいつトイレから出ていったのか、そう思ったBはAを問い詰めたという。
しかしAは本当に何も見ていなかった。ずっとトイレ前に立っていたのだから、見逃すはずはなかった。
AはBの見間違いだろう、と気にも留めなかったが、Bは「絶対見た」と納得していない様子だった。

540 本当にあった怖い名無し sage 2012/09/22(土) 23:14:16.63 ID:I9TGhiHq0
それからおかしなことが起き始めた。
休み時間にBがトイレに立つ等して何かしら教室を出ると、決まって入口ドアの端から顔を左半分だけ出し
無表情でAをじっと見つめては、顔を引っ込ませるようになったのだ。
Aは驚いたが、Bの体験を冗談扱いした自分に怒っているのだろうと、ふざけているのだと思った。
しかし、それは何日も続いた。無表情で何度もじっと見つめられると、さすがに不快だ。
いくら友人でも嫌らしい、とAは思った。
そこでAはBをとっちめた。入口から顔出していたずらするのはやめろ、と。
するとBはきょとんとして「俺そんなことやってない」と答えた。
ふざけんな、と喉から出かけたが、確かにおかしいことはあった。
Bは顔を半分だけ出すが、その体勢なら肩も一緒に見えていないとおかしいはず。
肩を出さずに平行に顔を覗かせることは、とても人間ができる体勢ではないと思われた。

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