Categories: 洒落怖

生きる気満々

この怖い話は約 2 分で読めます。

これはウチの祖母の体験で、かれこれ20年近く前の話。

近所の婆さん・Hさんが病気で(ってもほとんど老衰だけど)入院し、うちの祖母は「来てくれ」と婆ちゃんがせがんでいるからHさんの家族に言われて、見舞いに行った。
しかし、祖母が病院に着いた頃には急変しており、婆さんはスパゲティ状態。
いつ逝ってもおかしくなく、意識レベルも3桁(意識不明)に突入していたと思われる。
そんな状態だからか、見舞いに行った祖母は追い返されず、最期の別れをしていってくれと言われた。
それでは……、と祖母が病室に入ると、途端、今まで閉じられてたHさんの目がくわッと開き、祖母に視線を向け、管だらけの手で一回手招きして息絶えたそうだ。

祖母はゾッとして、挨拶もソコソコに逃げるように帰って来て、「恐い目にあった」と私ら家族にその体験を語ってくれた。
その話を聞いて「おばあちゃんはHさんのお気に入りだったからね」などと家族で祖母をからかったりした(なんかヒドイ家族だorz)
その夜。
祖母の夢の中にHさんが出てきて、無言で祖母を手招きした。
抗い難い力に祖母はHさんの傍へと引き寄せられていった。

「……それでどうしたの?」
朝、そんな夢の話をする祖母に私が尋ねると、
「ぶん殴って逃げてきた」
と祖母は答えた。

もし、祖母に少しでも抵抗する気迫が欠けていたら……祖母はHさんと一緒に逝ってしまっていたのかも知れない。

bronco

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bronco

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