Categories: 洒落怖

ドラキュラ

この怖い話は約 3 分で読めます。

1456年、首都トルゴビシテに乗り込み、ワラキアの権力を掌握したブラド3世は、9年前に殺された父と兄の供養をした。
彼はまず兄が葬られたという共同墓地を発掘した。掘り起こされた遺体は苦悶の形相凄まじく、首を背中に捻じ曲げた姿勢になっていた。
これは兄が生きたまま埋められ、のたうちまわった挙句に窒息死したことを物語っていた。
ブラドは兄の遺体を改葬して盛大に葬儀を行ったが、すでに頭の中は復讐心に満ちていた。まもなく彼はワラキア中の貴族を城に召集した。
会食が終わって、ブラドは彼らにこれまでに何人もの君主に仕えて来たかと質問した。
ある者は5人と答え、ある者は12人と答えた。30人、50人と答えた者もいた。
貴族たちは25才の新しい君主がどういう意味でこんなことを質問するのか意図が分からず、戸惑いの表情を見せた。
しかし、ブラドの方は知っていた。この中に父と兄を惨殺した裏切り者がいると言うことを。

232 本当にあった怖い名無し sage 2013/02/12(火) 08:52:28.25 ID:EftgH6kb0
まもなく彼の目配せのもと一定数以上の君主に仕えたと言った貴族が部下によって捕らえられた。その数は500人ほどだった。
彼らはただちに生きたまま串刺しにされた。先を尖らせた杭は、すでに何百本も用意されていたのだ。
そして貴族達はある者は胸から、ある者は肛門から、脇腹からと生きたまま内臓を貫かれて虐殺された。
何百本の杭は城の外に立てられ、死体は野鳥が啄ばむままにされ、何ヶ月も死体の原形が分からなくなっても放置され続けた。
ここに至り、ワラキア中の貴族はこの新しい君主ブラド3世がどれほど残虐で戦慄すべき人間かを理解し、恐怖一色に染まっていくのである。
もはや彼らはこの新しい君主に絶対服従を誓うか、さもなければ土地を捨ててどこかに逃げ去るかのいずれかを選択しなければならなくなった。
敵対する貴族を一掃して彼の本格的な治世が始まった。それは恐怖を根底とする絶対的なものであった。
彼は人々が常に勤勉に働き、盗みや不正を行わず妻は夫に常に貞淑であることを求めた。
そしてそれに少しでも違反した場合には厳格で情け容赦のない処罰が用意されていたのである。
ある時は勤勉な夫にみすぼらしい衣類を着せていた妻が両手を切り落とされて串刺しとなった。
貞操を守らなかった女は性器を切り取られたり、乳房を切り取られた上、全身の皮を剥がれて棒杭にくくりつけられ町の中央に晒された。
このような彼の異常とも言える正義感は領土内に恐ろしいほどの厳粛な治安を作り出した。
あらゆる窃盗、虚言、不義などが露見した場合、その犯人には恐ろしい刑罰が加えられたのである。

ブラドの残虐行為の記録は数多く残されている。
1460年、聖バルテルミーの早朝に彼は自分に敵対する異母弟の根拠地だった村を急襲した。
その際集まっていた男女全てが捕らえられ、剣で切り刻まれるか、ことごとく串刺しにされてしまった。
村は全て焼き払われ、3万人以上が殺されたと言われている。
バルガライ地方に侵攻した時はキリスト教徒を含むあらゆる人々2万5千人以上を虐殺した。その殺し方も実に惨たらしいもので、
生きながら串刺しにしたり、焼き殺したり、茹で殺したり、生皮を剥ぐなどして殺し尽くした。
目撃者の一人は串刺しにされた死者の列がまるで森のように林立するこの世の地獄絵図に全身総毛立つ思いだと感想を残している。

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