Categories: 洒落怖

白昼に

この怖い話は約 2 分で読めます。

。。。年月は流れた。バブル崩壊とオレの恋愛の破綻はシンクロしていた。
ユミは中年の金持ちと結婚し、二多摩マダムになったという。信じたくはない噂だった。
理由があって今は会えないが、いつの日かの再会の歓喜を高めるための、二人の間に暗黙の了解がある別離だと思い込みたかった。
しかし二人の共通の知り合いだったMの話では「二人子供いるって。本当らしいよ。」ということだった。
決定的だった。

ソウルメイトとの永遠の別離。これから始まる魂の長い冬。もう死んだも同然だから、
自殺してもしょうがないな。。それに。そんなことでへこたれるオレではない。
白痴的楽観主義こそオレさまクオリティー。まあ、生きてやるよ。。
でもまあ、独身を通すことにはなるだろうな。。

アルバイトから疲れて帰宅し、洗面台で手を洗いながら、フと鏡を見る。
心労のせいか、額もだいぶ上がってきたなあ。。散髪にももう一年以上行ってないから髪は肩まで伸びてる。。。
この顔、どこかで見たような気がする。
。。そういえば、若いころビル管理のバイトしてた時に見たあの落ち武者のような
サラリーマンの化け物。今オレはあれと同じくらいの年齢になったんだなあ。。

Page: 1 2

bronco

Share
Published by
bronco

Recent Posts

迷い

霊とかとは全然関係ない話なんだ…

4年 ago

血雪

全国的にずいぶん雪がふったね。…

4年 ago

母親の影

私が小6の時の夏休み、薄暗い明…

4年 ago

閉じ込められる

彼はエレベーターの管理、修理を…

4年 ago

彼女からの電話

もう4年くらい経つのかな・・・…

4年 ago

テープレコーダー

ある男が一人で登山に出かけたま…

4年 ago