Categories: 洒落怖

感情のあるこけし

この怖い話は約 3 分で読めます。

ある夏の夜のこと。
僕は夏休みを満喫していた。
宿題も半分以上終わり、リビングでテレビを見てくつろいでいた。
ふと、時計を見ると7時。
「はらへったな。早く帰ってこないかな。」と思ったとき、丁度親が帰ってきた。
母は荷物をテーブルの上におろし、それと同時に一体のこけしを置いた。

僕「何?このこけし。」
母「あぁこれ?お父さんが友達からもらってきたのよ。」
僕「ふーん。」

それから何秒、いや何分、そのこけしを見ていただろう。何故かこけしをずっと見ていたのだ。
するとしばらくするうちに、そのこけしの表情が悲しんでるように見えた。

僕「うわっ!」
父「どうした?」
僕「い、いや、何でもない・・・」

その時ご飯ができた。しかし食欲が湧かない。さっきまで腹がへっていたはずなのに。
「このこけしのせいか?」と思いながら食事を早めに終わらせた。
そして父に言った。

僕「なんで、こんな気持ち悪いこけしもらってきたの?」
父「しかたないだろぅ。小学校時代からの友人の土産なんだから。」

・・・気持ち悪い・・・そう言ったのがまずかったのか。

二階にある自分の部屋へ戻ろうとしたとき、こけしが視界に入った。
そのこけしが怒っているように見えた。
怖くなり急いで部屋に戻った。

425 風林 2006/04/06(木) 00:46:41 ID:rDkRGvpn0
そしてベットにもぐり込み、布団をかぶり、ふるえながら、

僕「怒っているように見えただけだ!見えただけだ!」

そう自分に言い聞かせた。

しばらくして冷静になり、だんだん暑くなってきた。
僕「なぜ、真夏の夜なのにあんなに寒かったんだ?」
なんでだろう?と思いながら、窓を開けた。僕の部屋にはクーラーはない。
横になりいろいろ考えてるといつのまにか寝てた。

夜中、ふと、目を覚ました。時計を見ると2時・・・
僕「嫌な時間に起きてしまったな。」
部屋の中は電気が点いたままだった。もう一度寝よう、と思っても眠たくない。
とりあえずトイレに行こうと思い、1階に下りた。トイレをしているとき、こけしの事を思い出した。
僕「あ・・・・」
思い出したくない事を思い出してしまった。
「だけどあれから時間がたってるんだ。テーブルにおいたままな筈はない。」そう思っていた。
喉が渇いていたから何か飲みたかった。しかし飲み物は冷蔵庫に。冷蔵庫に行くにはテーブルを通らないといけない。
おいてないと声にだしていても、内心は置いてあるんじゃないか、と思っていた。
おそるおそるリビングの明かりをつける。
テーブルが見える。しかし、こけしは置いてなかった。安心して、冷蔵庫からお茶を取り、そして飲んだ。
こけしがなかったと言っても深夜は、怖いので急いで部屋に戻った。
明かりが消えていた。

僕はアレッ?と思いながらも電気をつけた。

部屋の床に一体のこけしが置いてあった。しかもこっちをみている。
顔もはっきりと怒っている。

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