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しかし、その事件の翌日の夜も、部屋の中で人の気配を感じた。私の神経は敏感になっていたので幻聴が聞こえているのだろうと思った。
何かがうっすらと聞こえてくる。部屋にテレビはない。音を発するスピーカーの類もない。隣の部屋から聞こえてきているのだろうと
思い始めたが、壁に耳を当てても、どうも違う。部屋の中から聞こえてくるのだ。次第にそれは、人の声であることがわかる。
あの女の声だ。1時間以上も聞こえるのでもはや幻聴ではないと確信していた。確かに、あの女の声でボソボソと何か言っているのが
聞こえるのだ。また、あの恐怖が戻ってきた。今度はもう冷静にはなれない。クローゼットを開ける勇気もなかった。
825 本当にあった怖い名無し sage 2013/12/01(日) 00:41:15.71 ID:Btpm3SeY0
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部屋を飛び出し、近くに住む友達に電話をかける。訳を話すと、友達はすぐに私のもとへ来てくれた。
友達は一緒にクローゼットを開けてくれるという。刃物を持っているかもしれないからくれぐれも気を付けよう、と。
その言葉だけで頼もしかった。友達と部屋に入ると、まだ女の声がかすかに聞こえる。友達もそれを認識した。
友達は声を荒らげてクローゼットに向かって啖呵をきった。「オラァァァ!!出てこい!!」
反応がない。しかし、まだ、ボソ・・・ボソ・・・と女が声を発しているのが聞き取れた。
「開けるぞぉ!!」興奮した友達がクローゼットを開けた。私は一歩下がってしまった。
・・・・今度は誰もいなかった。声がするのに誰もいない。
私と友達は顔を見合わせ、互いに青ざめた。あいかわらず、声は聞こえる。声は少し聞き取れるように大きくなっていた。
近くにいる。しかし、クローゼットには闇が広がったままだ。そして、友達はクローゼットの下、衣服と衣服の間に、あるものを見つけた。
ICレコーダーだった。声の発信源はこれだった。幽霊でなく、本人でもなくて何よりだったが、私は耐え難い気持ち悪さを感じた。
ICレコーダーに耳を当ててみた。女の声がようやく聞き取れる。私は嘔吐してしまった。
「○○(私の名前)好き。 ○○、帰ってきた。見つけて。 ○○と一緒がいい。 ○○、○○・・・」
と繰り返し再生されていたのだった。
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